第59回全日本技術選、競技4日目の最終日。男子30人、女子15人が出場するスーパーファイナルの3種目と、ウイニングマッチが行なわれた。
当初、この日の種目はすべて兎平で開催される予定だったが、天候不良のため、ウスバゲレンデと名木山ゲレンデに移して行なわれることに。しかしこの日は本当によく降った。ウスバで行なわれた第1種目の大回り(スペース規制)が、降雪による視界不良で中断に。その後なんとか再開し、競技は成立したものの、第2種目として予定されていたフリー種目はキャンセルとなった。
ウスバの大回り(スペース規制)で種目トップに立ったのは、ここまで総合首位の武田竜(北海道)。「スキーの真ん中に乗って面で滑らせることを考えた」という滑りは、美しくなめらかな動きで287ポイントをマーク。北海道の井山敬介が雪質に合わせたアグレッシブな滑りを見せ285ポイント(種目2位)で続いた。女子では唯一の280ポイント台を記録した、新潟県の青木美和が頭ひとつ抜け出し、この種目を制した。
午後の1種目めは、名木山ゲレンデ・大壁での小回り不整地。前走で、北京オリンピック銅メダリストのモーグル選手・堀島行真がサプライズで登場すると、急斜面を水が流れ落ちるかのように駆け抜け、ギャラリーを沸かせた。
そんな中、女子の15人がスタート。スキーがコブを削るたび、ガリガリと音が聞こえてきたが、選手たちからは一様に「昨日より滑りやすい」との声。5番スタートの川端佑沙(東京都)が281ポイントで他をリードするも、決勝を終えて総合トップに立つ栗山未来(新潟県)が、282ポイントで種目1位を獲得した。
続いて行なわれた男子では、兼子稔(秋田県)、片岡嵩弥(北海道)らが280点越えの高得点を連発。前日も好パフォーマンスを見せた山形県の渡部浩司が284ポイントをマークすると、元々コブを得意とする石水克友(岐阜県)、そして前日に圧巻の滑りを見せた丸山貴雄(長野県)が、種目1位の285ポイントを記録した。一方、決勝を終えて総合2位につけていた名手・青木哲也(新潟県)がバランスを崩すまさかのミス。272ポイントにとどまり、表彰台を争うライバルたちに逆転を許す結果となった。
雪の降りがますます強くなってくる中で行なわれたスーパーファイナルの4種目めは、名木山ゲレンデ・中壁での小回りフリー。白馬八方尾根スキースクールのスタッフたちが隊列を組んで整備を続け、バーンコンディションが保たれる中、女子では北海道勢が活躍。弓野華緒、勝浦由衣が282ポイントで並ぶと、今大会ブレークの神谷来美が途切れることなくカービングの孤をつなげ283ポイントで種目トップを獲得した。
男子では、丸山貴雄、兼子稔、山田椋喬(東京都)が283ポイントでリードする中、種目トップに立ったのはやはりチャンピオン・武田竜。「アルペンのスラロームをイメージ」というジャッジの注文どおり、流れるようなフリーを見せ、他を圧倒する287ポイント(種目1位)をたたき出した。途中、突然の猛吹雪で競技が中断するも、なんとか3種目を成立。男女上位5人によるウイニングマッチに進んだ。
ウイニングマッチは同じく名木山中壁でのフリー種目。ギャラリー、そして戦いを終えた選手たちが見守る中、選ばれし10人がそれぞれ次元の高い滑りを披露した。
最終順位は、男子1位 武田竜、2位 丸山貴雄、3位 井山敬介、4位 関原威吹(学連)、5位 青木哲也。女子1位 栗山未来、2位 神谷来美、3位 青木美和、4位 川端佑沙、5位 春原優衣(長野県)となった。武田竜は、丸山貴雄に続いて男子2人目となる総合3連覇を達成。栗山未来が女王に返り咲きを果たし、幕を閉じた。
*4月8日発売の月刊スキーグラフィック5月号では、大会で輝いたトップ選手たちのインタビューや、連続写真で見る最新種目の考察などレビューを掲載予定。また、ジャッジ・片山秀斗が全種目の上位選手たちを解説するスペシャルDVD「技術選2022」は4月初旬発売で、芸文社通販ショップから予約受け付け中。ぜひお楽しみに!
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