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第61回 全日本スキー技術選 決勝 2024.3.9 REPORT

ノーマークの新星たちがハイスコアを連発する中で、
ディフェンディングチャンピオンの誇りと意地を見せた武田竜と渡邊渚!

大会3日目、決勝。2日間の予選を通過した選手たちは、さらなる熾烈な戦いに臨んだ。空模様は曇り。終日気温の上昇がなかったため、バーンは硬く締まっていたが、アイスバーン化しているわけではないのでエッジグリップも良く、滑りやすい状況が終日キープされた。

この日の使用バーンは、ルスツリゾートが誇る名物急斜面のタイガーコースとダイナミックコースの2つ。タイガーで「小回り 急斜面 整地(ナチュラル含む)」と「中回り マテリアル規制 急斜面 整地(ナチュラル含む)」、ダイナミックでは「大回り 中急斜面 整地(ナチュラル含む)」と「小回り 中急斜面 不整地」の、4種目が行なわれた。

「小回り 急斜面 整地(ナチュラル含む)」の女子1位は279ptをマークした渡邊渚(新潟県)。ハードな急斜面に苦しむ選手が多い中で、スタートからゴールまで鋭くスキーを走らせて圧巻の演技を見せた。2位は弥永奈々(滋賀県)、3位には西村紗英(長野県)、髙橋和花菜(長野県)、赤松かおり (山梨県)が275ptで並んだ。

男子は、武田竜(北海道)が284ptで他を圧倒、それを281ptの齋藤圭哉(長野県)が2位で追う。3位には279ptの川上勇貴(群馬県)、4位には278ptで奥村駿(京都府)と半田翼(長野県)が入った。

女子「小回り 急斜面 整地(ナチュラル含む)」種目1位/渡邊 渚(新潟県)
女子「小回り 急斜面 整地(ナチュラル含む)」種目2位/弥永奈々(滋賀県)
男子「小回り 急斜面 整地(ナチュラル含む)」種目1位/武田 竜(北海道)
男子「小回り 急斜面 整地(ナチュラル含む)」種目2位/齋藤圭哉(長野県)

「中回り マテリアル規制 急斜面 整地(ナチュラル含む)」は、今大会で新しく導入された種目。ショート系のスキーを用い、急斜面で中回りをするため、身体には強い負荷がかかり、それをどうコントロールするのかが勝負の分かれ目。今大会屈指のテクニカルな種目と言えるだろう。

この難しい種目でも渡邊渚(新潟県)が強さを発揮し281ptというミラクルスコアで首位。2位は神谷来美(北海道)、3位に青木美和(新潟県)。その後を275ptの西村紗英(長野県)、大場朱莉(宮城県)、髙橋和花菜(長野県)、 黒木玲名(岐阜県)、竹内さんご(愛知県)が4位で追う展開となった。

男子は、武田竜(北海道)と奥村駿(京都府)が280ptでトップを分け合い、3位が279ptの齋藤圭哉(長野県)と宮本慎矢(岩手県)、5位が278ptで川上勇貴(群馬県)、6位には水口雄太(富山県)と桔梗和貴(北海道)。ここ最近の上位常連を脅かすように宮本、桔梗といったフレッシュなメンバーがポテンシャルを見せつける刺激的な展開となった。

女子「中回り マテリアル規制 急斜面 整地(ナチュラル含む)」種目2位/神谷来美(北海道)
女子「中回り マテリアル規制 急斜面 整地(ナチュラル含む)」種目4位/大場朱莉(宮城県)
男子「中回り マテリアル規制 急斜面 整地(ナチュラル含む)」種目1位/奥村 駿(京都府)
男子「中回り マテリアル規制 急斜面 整地(ナチュラル含む)」種目3位/宮本慎矢(岩手県)

「大回り 中急斜面 整地(ナチュラル含む)」で使用されたダイナミックコースは、一見するとワイドで単調な一枚バーンだが、ゴール手前から左側へ落ちていく片斜面に変化する。スピードが乗った局面でこの斜面変化にいかにアジャストさせるかが最大のポイントで、コースどりのミスなどから減速要素を見せてしまっては高得点が期待できない。

女子は、流れるようにスムーズなラインを描いた西村紗英(長野県)が278ptでトップ。2位には276ptで弥永奈々(滋賀県)と弓野華緒(北海道)が入り、青木美和(新潟県)と春原優衣(長野県)が275ptで4位につけた。

男子1位を獲得したのは、山田椋喬(東京都)と関原威吹(新潟県)。ともに鋭いスキーの差し込みから伸びのあるターン後半を見せて279ptをマークした。3位は武田竜(北海道)、奥村駿(京都府)、佐藤栄一 (新潟県)金子祐大(岐阜県) が277ptで並び、それを1点差の277ptで尾﨑隼士 (青森県)、半田翼(長野県)、石水克友(岐阜県)、森田昂也(東京都)が追う激戦となった。

女子「大回り 中急斜面 整地(ナチュラル含む)」種目1位/西村紗英(長野県)
女子「大回り 中急斜面 整地(ナチュラル含む)」種目2位/弓野華緒(北海道)
男子「大回り 中急斜面 整地(ナチュラル含む)」種目1位/関原威吹(新潟県)
男子「大回り 中急斜面 整地(ナチュラル含む)」種目1位/山田椋喬(東京都)

続いて「小回り 中急斜面 不整地」。ダイナミックコースの右半分に設けられた不整地は、さまざまなピッチのラインが用意され、しかも自然コブに近い形状に作られた。そのため、選手にとっては「どのラインで何をどう見せるか?」という滑りのテーマ付けがポイントになったことだろう。

女子で281ptというミラクルスコアをたたき出し種目1位を獲得したのが野々山颯絵(東京都)。けがからの復帰戦で圧倒的なパフォーマンスを見せてギャラリーの喝采を浴びた。2位は秋元日菜子(北海道)、3位には278ptの中山有紗が続いた。

男子は、ノーマークながら281ptでトップを取った関井愛斗 (北海道)が圧倒的。2位は280ptで鈴木大智 (北海道)、3位に279ptで尾﨑隼士という順位。関井は他の種目ではそれほど振るわなかったものの、潜在能力の高さを誇示するかのような見事なパフォーマンスを見せた。

女子「小回り 中急斜面 不整地」種目1位/野々山颯絵(東京都)
女子「小回り 中急斜面 不整地」種目2位/秋元日菜子(北海道)
男子「小回り 中急斜面 不整地」種目1位/関井愛斗 (北海道)
男子「小回り 中急斜面 不整地」種目2位/鈴木大智 (北海道)

男子は武田竜、女子は渡邊渚を暫定トップに、男子30名、女子15名のスーパーファイナル進出者が決定し、夜にはルスツリゾートホテルにてビブドローが開かれた。第61回目の技術選ファイナルステージは、もう数時間後に迫ってきた!

写真:黒崎雅久、鈴木馨二(White Depot)/ 文:近藤ヒロシ