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吹き荒れるBOA®旋風

ギア・アイテム

25/26シーズンは10ブランドに拡充

包み込むようなラッピング構造で足とブーツの一体感を実現するBOA®フィットシステム。

昨シーズン、BOA®搭載のオンピステブーツは主要6メーカーからリリースされたが、今シーズンは10ブランドまで拡充。

ここでは、トップスキーヤー3人による座談会をとおしてBOA®搭載ブーツの可能性を探っていく。

辻村友寿

つじむらともひさ●1998年8月4日生まれ。小学校4年生からアルペン・基礎スキーの二刀流でスキーに打ち込み、19歳で技術選デビュー。2024年大会では総合18位、25年大会では総合24位を記録。SAJナショナルデモンストレーター認定2期

中村和司

なかむらかずし●1989年7月10日生まれ。秋田県鹿角郡出身。国体優勝(GS/成年A)など、レーサーとして多くの好成績を残す。2024年にアルペン競技を引退し、技術選に参戦。スピードと力強さを武器に、さらなる技術進化を模索している

太谷敏也

おおたにとしや●1982年2月24日生まれ。元ナショナルデモンストレーター。長く技術選で活躍し、インタースキー代表にも選出された。現在は、フォルクルチームコーチとして、学生やジュニア選手の育成にも精力的に取り組んでいる

初見の不安を一掃する基本性能

太谷 このメンバーがそろうのもレアな機会なので、今日はBOA®ブーツについて率直な意見交換をしたいと思っています。さっそくだけど、ヘッドを履いている辻村デモは最初に手にとったとき、どんな印象を持った?

辻村 初めて履いたのは、昨シーズン終盤の春。やや大きめのサイズを使ったんですが、とにかく楽でしたね。局所的な痛みがいっさいなく、スキー操作もまったく問題なかったです。

太谷 K2を使う和司くんは?

中村 自分は23/24シーズンから使っているんですが、そのときは一般向けのモデルということもあって、履き心地はいいけど、機能的には手探り状態でしたね。昨シーズンはレーシングタイプにBOA®が搭載されたため、つくりもしっかりしていて、重さもまったく違った。実際に使ってみても、ブーツの弱さを感じなかったので、技術選はもちろん、レースでも使えると思いました。敏也さんはどうでした?

太谷 先々シーズン、ダルベロからシングルとデュアルダイヤルのBOA®ブーツがテスト用に2足届いて、最初は少なからず不安を覚えた。ブーツがねじれて力が逃げてしまうんじゃないかと。でも、実際に履いて2〜3ターンしたら、それがまったくない。とくにデュアルダイヤルのほうは、つくりもしっかりしていて、とても快適に滑れたのをよく覚えている。

局所的な痛みがいっさいなく、スキー操作もまったく問題ない(辻村)

一日中履いていられる快適さ

太谷 みんなが最初に好印象を抱いた履き心地について、もう少し掘り下げていきたいんだけど、和司くんはBOA®ブーツの快適性をどうとらえている?

中村 レーサー時代は必ずチューンナップしてから使っていたんですけど、BOA®ブーツは本当に何もしないで履いていますね。一日中履いても、ぜんぜん問題ないです。先シーズン、バックルのレーシングモデルを一度だけ履いたんですけど、もう痛くて痛くて。BOA®ブーツを履いたら、バックルには戻れませんね(笑)。

太谷 すごくわかる。もう戻れないよね。コーチングしているときに、ダイヤルを一度も緩めないから。ずっと締めたまま立っていられる。

中村 バックルの場合、局所的に押さえているからうっ血する感覚があるけど、BOA®ブーツは一日中履いていてもそれがないですよね。

太谷 上から押しつぶされると血流が止まってしまうような感覚があるから、足が冷えやすくなる。BOA®はそれがないから暖かいよね。

中村 本当に暖かい。先シーズン、一度もスキー用のソックスを履いていないですから(笑)。

太谷 辻村デモはどう?

辻村 フィット感という点では、BOA®はミリ単位で調整可能なのがいいですよね。自分はギリギリまで締めて滑ったのですが、痛みもなく、快適に滑れました。

中村 快適に滑れて、快適に一日を過ごせるんだよね。必要十分なフィット感が得られて、長く履いていられる。

辻村 足先が冷たくなったり、土踏まずに痛みが生じたりすることもないので、レッスンやコーチングでの使用にうってつけですよね。フィット感と保温性に優れているのは助かります。

BOA®ブーツを履いたら、バックルには戻れませんね(中村)

現役選手が信頼を寄せる機能性

太谷 ブーツにはもうひとつ重要な要素、いわゆる機能性も求められるわけど、この点についてはどうかな?

辻村 急斜面でカービングのショートターンをするとき、ターンの前半はスキッディングでスキーをコントロールするのですが、この繊細な操作がしやすくてちょっと驚きました。ターン中盤から後半にかけてスキーが走っていく感覚も得られましたし、機能的には普段使っているブーツとほとんど差がない印象です。

中村 自分は技術選で実戦投入しているんですけど、昨シーズン使用したモデルに関しては、何も問題ないですね。硬さもあるから反応もいいし、前傾角がついてポジションもキープしやすい。本当に信頼できるブーツに仕上がっていると感じています。

太谷 二人の話を聞いていてメーカー、また機種によって印象が変わってくるのかなと思った。僕が使っているモデルは、ミドル〜ロングターンは気持ちよく滑れるんだけど、前傾角がそれほどないので、ショートリズムは少し操作に気をつかうんだよね。

辻村 シェルの硬さも関係しているんじゃないですか?

太谷 それはあると思う。普段使っているものと同じ感覚を得たいのであれば、硬さを一段階上げると同じようなフィーリングが出てくる気がする。

中村 あと、スキーとの相性も。

太谷 そうだね。実際、ダルベロのBOA®ブーツはオールラウンドやオールマウンテンスキーとの相性が抜群だから、スキーとのマッチングも性能をフルに引き出す鍵になりそうだね。

機能的には普段使っているブーツとほとんど差がない(辻村)

使用シーンの広がりは確実な情勢

太谷 最後にBOA®ブーツの可能性を探ってみようか。和司くんはどう考えている?

中村 今後はレーシングモデルにも搭載されるのは確実な流れで、数字的にはBOA®搭載モデルのほうが優れているというデータもある。近い将来、レースシーンや技術選でも使用されるようになると思っています。

太谷 辻村デモはどう?

辻村 今の快適性に加えて、レーシングブーツと遜色ない機能性を備えたモデルが増えてくれば、使用する選手も増えてくるでしょうし、一般スキーヤーの上達の手助けになるんじゃないでしょうか。快適性と機能性を高次元で備えたブーツの普及を、BOA®には期待しています。

太谷 競技シーンでの広がりもそうなんだけど、BOA®ブーツはレジャー&ファミリースキーヤーを中心に広まっていく気がしている。痛い、寒い。そういったネガティブなイメージを払拭し、スキーに入りやすくなる、あるいは継続しやすい環境を整えてくれるんじゃないかと。スキーの参加人口を増やす可能性を秘めていると思うので、今後の動向から目が離せないよね。

スキーの参加人口を増やす可能性を秘めている(太谷)

リッチー・ベルガーもBOA®搭載ブーツを併用

「私自身は快適性よりもパフォーマンスに重点を置きますが、BOA®はその要求に見事に応えてくれます。ロワシェル部分は雪面へのパワー伝達の精度を高め、アッパーカフ部分はスキーの上でのポジションを向上させるとともにバランスを改善してくれます。技術選の前走でも併用予定なので、楽しみにしていてください」

実力派学生スキーヤーと編集部員が話題のニューブーツを試し履き!

 今日はそれぞれ2メーカーのBOA®搭載ブーツを試乗したわけだけど、最初に履いたとき、どう感じた?

 アッパーシェルを完全に解放できないので足入れに慣れが必要なことと、ワイヤーが思っていた以上に長いので、ダイヤルをまわして締めるのにもコツがいるのかなと。

 自分は足首が細いほうなので、とくに足入れは気にならなかったな。

 足を入れてからは?

 全体的に足を包み込んでくれる感じで、フィット感はいいですね。

 すごくわかる。バックルブーツが点で押さえる感覚なのに対して、足全体を包み込んでくれてフィットする感じ。均一になじんでいくというか。

 自分は滑る直前にきつく締めたとき、それを感じました。BOA®は面というか、足全体を包み込んでフィットさせる感覚です。

 両サイドに引っ張られるような感じでフィットしていくよね。バックルブーツは上から押しつぶされる感覚があるけど、BOA®はいい意味でソフトにラッピングされる感じ。

 ダイヤル式で微調整がしやすいのもメリットですよね。バックルの微調整は、意外と面倒じゃないですか。厳冬期は凍ってまわしづらいこともあるし。そういうストレスがないのはいいですよね。

 実際に滑ってみた印象は?

 まったく違和感がなかったです。これで普通に大会に出ても勝負できると思いました。シンプルに、上級者でもストレスを感じない、とてもいいブーツという印象です。

 自分は滑走中にベタ足で立っている感じがして、いつもよりもスキーを操作しやすかった。足裏がフラットな状態で立てるというか。Sはどう?

 普通にいいブーツで、普段履いているレーシングモデルと同じように滑れてちょっと驚いた。滑り始める前は、正直不安もあったから。

 普通に滑れるって大事だよね。条件がハードになってもいけそう?

 パワー伝達やレスポンスは変わらないから、一般のゲレンデを滑るぶんには問題ないんじゃないかな。高速域になったときは、BOA®よりも、ブーツ自体の構造のほうが重要になってくる気がする。

 それは自分も思いました。やはりラストとの相性がポイントになるかと。だから、同じ機種なら好みで選べばいいんじゃないでしょうか。心理的な抵抗感を払拭しきれないならばバックル、近未来的なデザインが格好いいと思えばBOA®といった感じで。

 たしかに。画期的なシステムだけに、BOA®ばかりに目が向きがちだけど、通常のブーツ選びと同じように、自分の足に合うメーカー、機種を選ぶことがポイントになるのかも。そういう意味では今年、搭載モデルが10ブランドに拡充されたことは喜ばしい流れだよね。スキーブーツは大きな変革期を迎えているのかもしれない。

まったく違和感がなく、大会に出ても勝負できる

フラットに立ててスキー操作がしやすい

点ではなく、足全体を包み込んでフィットする

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