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ルスツ技術選2025&デモ選展望

インタビュー技術選イベント

3月4日~9日にかけて、北海道ルスツリゾートで開催される第62回全日本スキー技術選手権大会&第40回デモンストレーター選考会。連覇を遂げた女王が不在となった女子戦線。6連覇をねらう武田竜と若手選手たちの激闘が予測される男子戦線。果たして誰が勝利を手にするのか? 技術評価の基準とともに編集部がピックアップした注目選手の声をお届けする。

昨年と同じように北海道ルスツリゾートで行なわれる第62回全日本スキー技術選手権大会(技術選)と第40回デモンストレーター選考会(デモ選)。予選、決勝、スーパーファイナル(SF)と競技が進んでいくにつれて出場選手が絞られていく技術選のフォーマットは基本的に昨年と同じだが、種目の内容には二つ変更が加えられている。

フリー種目に人工ウェーブを導入

一つは、予選と決勝で行なわれる「フリー」種目の設定バーンに、2カ所人工ウェーブが設置されるということ。人工ウェーブの大きさや間隔などは取材時点では未定だが、昨年、思った以上にスピードが乗りにくいバーン状況に苦しめられた選手が多かったダイナミックコースに、人工ウェーブが加えられることで、より難易度が増したと言えるだろう。切れや走りのよさなど高いターンの質を表現したうえで、いかにウェーブを利用してスムーズなターン変化を見せられるかが得点を左右するポイントになりそうだ。

SFにミドル~ショートへのリズム変化を新設定

もう一つの変更点は、SFに「ミドルターン~ショートターン」という種目が新設されたこと。ポイントになるのは、上部のミドルターンでスピードに乗ったあと、いかにダイレクトにショートターンに移行するかということ。浮かされたり、落差が大きくなってしまうと高得点は望めないだけに、多くの選手を苦しめるSFの勝負どころとなるかもしれない。

同時開催されるデモ選では、男子20名以内、女子10名以内のナショナルデモンストレーターと、男女合わせて30名のSAJデモンストレーターが選出される。その種目設定は新しい『日本スキー教程』に則ったものなので、質の高い師範演技を見たい人は、デモ選にもぜひ注目してほしい。

技術選2025・技術評価のポイント

技術選の技術評価のポイントは、どこにあるのか? 元ナショナルデモンストレーターで、SAJ教育本部スキー・デモンストレータープロモートチームの松沢寿監督と岡田利修ヘッドコーチに聞いた。

目安となる幅のなかでカービングのターン弧を制御する

今シーズン『日本スキー教程』が新しくなったことで、スキー技術の組み立て、技術評価の観点という意味で一つの形が示されました。

技術選では、59回大会からターンスペースを決めて競技を行なっています。ショートターンでは幅が5~5.5m、ロングターンでは14~15mとしています。その幅のなかで、いかにカービングでターン弧を制御して滑っているかということが、技術評価の重要なポイントになっています。

たとえばタイガーコースの場合、出だしでは加速すると思います。だいたいコースの3分の1ぐらいでスピードが決まり、そのあとは等速でカービングの弧を制御することが求められます。そのためにはやはりターン弧を深くしなければならない。一つひとつのターンがコンパクトに行なわれ、目安となるスペースのなかで深いカービングで滑ってくるというイメージになります。

さらに、そのときに差となって表れるのが、切りかえの向きです。これはターン後半・切りかえ・次のターン前半とつながっている運動になりますが、ターンから抜け出すときにスキーのトップが外を向いて横向きに切りかえると、オーバーターンになりやすい。また切りかえで腰が落ちてしまうと、ターン前半が軽くなってしまいます。

それに対して、フォールライン方向に切りかえを行なうと、身体が次のターン方向に向いて、早いタイミングから雪面をとらえることができます。その状態で的確に雪面をとらえながら方向づけができると、フォールライン付近でスキーを十分にたわませることができ、コンパクトにエッジングを仕上げ、深くカービングの弧で抜け出すことが可能になります。

こうした技術の観点を踏まえて、ルスツのバーンで繰り広げられる選手たちのダイナミックな滑りを、ぜひ直接会場でご覧になっていただけたらと思います。

注目選手インタビュー

武田 竜

前年総合優勝

ターンの質が一番の武器。自分のスタイルで戦っていく

──現在の滑りの状態は?

小樽地区予選が初めてパフォーマンスを上げて滑る場だったのですが、バランスもそんなに悪くないし、いいフィーリングで滑れました。

──今年の技術選に向けて、どんな滑りを意識していますか。

新しい『日本スキー教程』に沿った滑りを意識しています。そういう観点でジャッジされるだろうから、大会まで時間をかけて、そこにきちんとフィットするように滑りの完成度を上げていきたいです。

──技術的なポイントは?

やっぱりポジションが一番だと思います。ポジションが100%できていないと、そこから先がバラバラになってしまうので。ワールドカップも見ていますが、ポジションが崩れないように正確に動いてくる選手は、やはり速い。技術選でもそれは同じで、スタート順やタイミングで変わる雪質に対応して、いつも同じパフォーマンスが出せるポジションをつくっていきたいです。あとは、ターン制御。つねに同じリズム、タイミングで滑れるのが一番理想的だと思うので。

──若手の追い上げもありますが。

若手の多くは僕の滑りを見て、それを研究してやってくると思うんです。それで滑りのまねはできるんだけれど、僕の感覚まではわからないし、ターンの質まではまねできないと思います。そこが自分の一番の武器だと思うし、自分のスタイルを維持してやっていきます。そのうえで、数多くの種目に対応するための安定感を保つということを意識しています。

──本番に向けての抱負を。

6連覇がかかっているし、それを見にきてくれる人もいると思うので、それにはきちんと応えていきたい。武田竜vs誰々というところもあるから、大会を盛り上げるひとりとして、みんなに面白く見てもらいたいですね。

奥村 駿

前年総合2位

大きく内傾角をとる滑りに安定性をプラスして勝負する

──今年の技術選の目標は?

もちろん、優勝です。昨年は不整地種目で2本大きなミスをしてしまったので、それをなくすことが必須だと思います。幸い今シーズンは雪があって、早い時期からコブを滑ることができているので、残り1カ月あまりで重点的にやっていきたいと思います。

──整地の種目は、どうですか。

整地系種目は昨年も点数を出してもらっているので、ベースの部分は変えずに、少し違うものも見せられる準備をしていきたいと思っています。

──少し違うものというのは?

僕の滑りはスキーを大きく身体から離して内傾角をとっていくものです。それとは別にスキーと身体の距離を離さず、早い段階からプレッシャーをかけられるポジションでターンに入っていく滑りも自分のなかに取り入れようと思っています。

──2タイプの滑りを用意する?

昨年までは大きく二つに分けていたのですが、今年は二つをうまくミックスして、自分の強みを生かしたまま、安定性を出せる滑りができています。今はコーチと一緒に、精度を高める作業を進めています。

齋藤圭哉

前年総合3位

ターン前半の動きを洗練させて優勝をめざします

──甲信越予選3位おめでとうございます。

ありがとうございます。マテリアルを変更したこともあるので、甲信越では小まわりで縦に落としてみたり、いろいろ試しながら滑りました。

──余裕がありますね。

スキーに操作性がすごくあるので、今までとは違った自分のよさも出てくるのではないかと思っています。

──今までとは違うよさというと?

今まで力を入れてきたターン前半の動作のなかで、よりエッジの角度を出しやすくなったと感じています。だからそこに注力して、ターン後半から次のターン前半にかけての動きを洗練させていきたいと考えています。

──そのために必要なものは?

ターン前半に仕掛けるために、外脚に乗っていくのは大前提としてとても大事です。その前の動きとして、山脚をしっかりと谷方向に伸展することを意識しています。その結果、ターン前半、早い角づけができますし、ターンのつなぎで身体の動きも止まらなくなるので、大きく取り入れています。

──今年の技術選の目標は?

今年は優勝します。

この選手に注目!

6連覇をめざす武田竜を奥村駿、齋藤圭哉のふたりを筆頭に躍進著しい若手選手群が追う男子戦線。連覇を果たした女王が不在で誰が勝ち上がるのか予測のむずかしい女子戦線。そんな技術選2025で注目してもらいたい10人の選手をピックアップ。その声をお届けする。

尾﨑隼士

前年総合4位

昨年は全種目をまとめることを意識して滑りました。今年は自分の武器となるものを磨いて、それを大会でしっかりと出して、種目別の順位と総合のトップ3をねらっていきたいと思います。ターン前半のとらえの早さや重みをしっかりとつくり、それを後半のスキーの抜けにつなげていく、見ている人を魅了する滑りをしていきたいと思います。

川上勇貴

前年総合5位

昨年の技術選では、得意種目ではトップの得点を出せていましたけれど、コブやダイナミックの種目では点数を伸ばすことができませんでした。今年はそれを修正するために、何パターンかの滑りをつくりあげていき、そのときどきのバーンの雪質や状況に合わせて滑りたいと思います。そうすることで全種目で満遍なく得点を重ねて、1位をねらってがんばりたいと思います。

穴田玖舟

前年総合6位

うまさというより、すごさを出していきたいので、昨年同様、自分のよさをうまく表現できたらと思っています。イメージしているのは、傾けたスキーに対して垂直に力を加えることで、スキーのアールではなく、たわみを利用してターンをする滑りです。大会では順位にとらわれることなく、自分ができるいい滑りを、そのときのバーン状況と斜度に合わせて見せていきたいと思います。

佐藤栄一

前年総合7位

技術選の上位で戦ってきて10年ぐらいたちますが、少し滑りのイメージを変えて「新生・佐藤栄一」でいきたいなと取り組んでいるところです。どんなときでもフルカービングではありませんが、急斜面でもターン前半から一気に雪をとらえて、しっかり上から乗り込んでいく鋭いターンをめざしてやっています。そんな滑りを披露して、技術選では久しぶりに優勝争いをしたいと思います。

山田椋喬

前年総合8位

今、技術選で求められるターンスピードだとか、切れのよさ、弧の深さというのは、もともと僕がウリにしている部分です。今年はハイスピードに耐えられるようにスキーをしっかり押していきながら、重心をより下に落としていき、落下が見える勢いのある滑りをしていきたいと思います。整地系種目には自信があるので、コブの精度を高めてトップ5に食い込みたいと思います。

関原威吹

前年総合12位

マテリアルチェンジをして甲信越予選に臨んだんですけれど、自分が思い描く滑りができて1位を獲得できたのでよかったです。技術選でも自分の武器であるターン弧の深さを見せていきたいと思います。今シーズンはコブにも力を入れて練習しているので、全種目でトップをねらっていきたい。総合ではトップ10に戻ることが最低ラインで、トップ3、表彰台にのることが目標です。

青木美和

前年総合2位

昨年からショートターンはすごくいいイメージで滑れていました。今シーズンはそのイメージでロングもショートも滑ることができています。ターン前半に腰を前にもっていきながら太ももをひねり、すばやく雪面をとらえていくイメージです。そうして早い段階からエッジングをしていくことで抜け出しも早くなるので、技術選ではその滑りを披露して頂点をねらいたいと思います。

弥永奈々

前年総合3位

自分の滑りのスタイルを伸ばしながら、幅広い雪質や斜面状況に対応できるように技術の幅を広げていきたいと思って練習しています。軟らかい雪だと、特にスピードをつなげることが鍵になってくるので、雪面とのやり取りを柔らかいタッチでしながらスキーを推進させていく動きもしっかり出していきたいと思います。滑りの幅を広げて技術選では優勝をめざします。

鈴木紗英

前年総合5位

身長が高いほうなので、その身長を生かした滑りをすることと、自分が得意とするスキーを走らせる滑りをしっかりと磨いていきたいと思います。(甲信越予選を終えた)今はまだ、やりたいことが少しできたかなという仕上がりですが、技術選までにしっかりと仕上げ、本番では自分らしく、雰囲気にのまれずに元気よく滑って、表彰台をめざしてがんばりたいと思います。

神谷来美

前年総合7位

見ている人が「おっ」と思うような、迫力のある、力強い滑りをめざしています。そのためにポジションを修正したり、今までよりも張りの強いタイプのスキーをつくってもらったりしています。昨年、順位を落としてしまったので、今年の技術選ではもう一回優勝争いに絡みたいなと思っています。周りの選手に遅れをとらないようにロングターンを練習して、技術選に臨みたいと思います。

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