技術志向の強いユーザーに向けてオガサカが自信をもって送り出す「KEO’S」シリーズ。
来季は高い自在性をそのままに、ショートカービング性能を進化させた「KS-PS」がデビュー。
2人のトップスキーヤーが、プライズテストへの順応性も含めたポテンシャルを探ってくれた。
──「KS–PS」で滑った第一印象をお聞かせください。
鈴木 スキー全体の滑らかさ、スキー自体のバランスの良さをまず感じました。それを如実に感じたのがコブです。深いコブでも滑ったのですが、コブの溝の出口で、次のターンに向けてスキーがスムーズに落ちてくれます。これはバランスの良いスキーでなければ感じられないことです。
唐沢 僕はこれまでアルペン競技用の「トライアン」と技術選専用機の「TC」シリーズでしか滑ったことがありませんでした。でも、「KS-PS」に乗ってみて、ピンポイントでど真ん中に乗れなくても滑らかなターンができました。乗る位置がシビアに要求されるスキーは、そこを外すとスキーがたたかれたりバタついたりしがちですが、そんなことを全く気にすることなく、本当に気持ちのよいターンができました。
鈴木 バランスの良さは整地でも同じで、ターン前半からスキーがたわんでくれるので、ターン後半はバタつくことなく気持ちよい抜けを感じることができました。これは今回実走した「KS-PS」が、サンドウィッチ構造を採用したことで感じられるフィーリングだと思います。
──抜けが良いというのは、われわれ一般スキーヤーにも感じられるものなのでしょうか。
鈴木 反応や走りだけでいえば「TC」の方が強くて鋭さがあるのかもしれません。でも、それを引き出すにはスキーヤーにもシビアなポジションや圧を加えるタイミングや量など、相当の技量が要求されます。それと比べて「KS-PS」はスイートスポットが広いので、幅広い層の上級者が抜けの良さを味わえるスキーになっていると思います。
唐沢 抜けというのは、ターンの楽しさにつながる部分だと思います。自分が働きかけた力がターンの後半にロスなく返ってくることはターンの楽しさを感じられる部分なので、急斜面や緩斜面、コブ、林間コースでと、いろいろなシチュエーションで純粋にスキーの楽しさを体感できますね。
─スキーのサイドカーブがややきつめに設定されていますが、これについてはなにかフィーリングを得ましたか?
唐沢 スペックを見ると、165cmでサイドカーブが13・8mとなっていて、オールラウンドスキーとしては比較的きついラディウスになっています。細かな数字のことは知りませんでしたが、見た目でサイドカーブがあるスキーだとは思っていました。実際に滑った感覚でも、ショートターンで反応が早くて機敏に動くスキーだと感じました。
鈴木 前モデルの「KS-NS」は大回り〜中回りでカービングがしやすく、小回りも滑りやすいスキーでした。ひとつだけ、小回りでのカービング性能が中回りまでのそれに比べると、性格的に強くないと感じていました。対して「KS-PS」は、大回り〜中回りはもちろん、小回りでのカービング性能が高まったフィーリングがあります。技術志向の強いスキーヤーは、小回りでもカービングすることが目標になるので、そこはかなり魅力的ですし、満足感を得られるのではないかと思います。
すずきだいち●1997年2月13日生まれ。北海道小樽市出身。2023年、ナショナルデモンストレーターに初認定。全日本スキー技術選手権大会での自己最高位は2018年大会の総合18位。薬剤師兼スキーヤーとして活動中
──いろいろなシチュエーションで楽しめるというコメントがありましたが、一方でプライズテストについてはいかがでしょう?
唐沢 技術選アスリートに特化した「TC」シリーズのスキーは、ポジショニングが定まらないとバタついたり曲がらなくてずらさざるを得なかったりするケースもあります。でも「KS-PS」はポジションについてはある程度許容の幅がありますし、どこに乗ればスキーのどこがたわむかが分かりやすいので、安定して自分のパフォーマンスを出せるスキーだと思います。
鈴木 プライズ検定は事前講習でのアドバイスにコミットして、それを本番の滑りで表現する必要があります。それに、前日と当日では雪のコンディションが違ったり、コート変更などにも対応しなくてはならないケースも出てきます。そのようなときでも「KS-PS」はスキーがうまく足元をサポートしてくれるので、コンディション対応であわてることなく、ジャッジの観点に合わせて滑ることができると思います。
唐沢 ただでさえ検定は緊張するものですから、自分でスキーを操れる自在性がある「KS-PS」の対応力は合格へ導いてくれるものだと思います。
──コブについては?
鈴木 バランスが良いのでとても安定して滑ることができます。僕の場合、コブでも雪面にスキーを張り付けて滑ることを目標にしています。その点「KS-PS」は極限まで雪面コンタクトを維持した滑りができるスキーで、技術選でも「KS-PS」を使いたいと思ったほどバランスが良かったです。
唐沢 僕は3シーズン前まで競技スキーをやっていたこともあり、スピードと勢いにまかせていくしかないので「TC」を使っていますが、やはり反発が強いので、的確なポジショニングとそれなりの筋力は必要になると思います。でも、「KS-PS」を履いて滑った整地の小回りの滑らかさは、技術選でも使えるほどピカイチでした。
鈴木 航希は整地の小回りで、僕はコブでとタイプは違いますが、それだけのポテンシャルがあるということですし、「TC」が技術選に向けた専門性の強いスキーであるのに対し、一台で高いレベルでオールラウンドにこなせるスキーが「KS-PS」だと思います。
からさわこうき●1998年12月11日生まれ。長野県東御市出身。大学まで競技スキーに打ち込み、4年時の2021年に学連から技術選に参戦。22年大会では総合17位、23年大会では総合24位と、2年連続でスーパーファイナルに進出している
¥149,600[税抜価格 ¥136,000]
OPTION
SR585付モデル
¥173,800[税抜価格 ¥158,000]
プレート:日本製重量½:約436g(ビス重量含む)
FM585付モデル
¥161,700[税抜価格 ¥147,000]
プレート:日本製重量½:約418g(ビス重量含む)
チロリア PRD 12 GW BK/RD/WT付モデル
¥181,500[税抜価格 ¥165,000]
ビンディング:オーストリア製重量½:1,330g(Multiflex Pro Base/RD含む)ソールサイズ調整幅:255〜378mmDIN値:3.5-12
──「KS–PV」、「KS–PY」もラインナップされていますが、こちらはどのようなスキーでしょうか。
鈴木 スペック的には「KS-PS」がメタルを採用してあって、「KS-PV」はメタルが入っていないスキー、「KS-PY」は軽量芯材が使われています。最上位、セカンド、サードではなく、脚力のある方は「KS-PS」、体重が軽かったり脚力がそれほどない方は「KS-PV」、小回りをうまく滑りたい方は「KS-PY」という考え方が良いと思います。1級合格を目指すには小回りの上達が欠かせませんので、技術的なステップアップに合ったスキーがそろっている点で「KEOS」シリーズはお薦めです。
──プレートの選択に関してはいかがでしょう。今回はプレート搭載の「KS–PS」での実走でしたが。
唐沢 スキーのたわみのことを考えると、やはり体重や脚力で選ぶのがいいのではないでしょうか。体格の良い男性や、女性でもパワフルに踏める方は剛性の高い「SR585」というプレートがフィットするかと思います。
鈴木 脚力があってスキーをガンガン押しつけて滑りたい人は「SR585」が良いと思いますし、スキー全体のしなりを使って滑りたい人は「FM585」に乗り心地の良さを感じると思います。また準指導員や指導員検定の低速種目で使う場合を考えると、よりスキーが動かしやすくなるため、プレートなしという選択もあるかもしれませんね。
チロリア PRD 11 GW BK/WT/RD付モデル
¥134,200[税抜価格 ¥122,000]
¥95,700[税抜価格 ¥87,000]
チロリア SLR 10 GW WT/BK/RD付モデル
¥115,500[税抜価格 ¥105,000]
ビンディング:オーストリア製重量½:1,080g(JOY SLR Base Plate含む)ソールサイズ調整幅:255〜338mmDIN値:3-10
写真:金子雄爾 / 文:眞木 健 /撮影協力:志賀高原リゾート開発株式会社
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