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豪雪、パウダー、ロングシーズン 奥只見丸山スキー場

シーズンはじめからパウダーを滑れ、ゴールデンウィークまで滑走できる奥只見丸山スキー場。

コブの特訓や大会参加などこのスキー場で技術を磨いた若手現役選手の尾﨑隼士と齋藤圭哉がコースやロケーションのすばらしさについて語る。

「Bコース」のコブはスキー場の名物。コブ好きが集まるからか、形がきれいで、春になるとたくさんのコブ好きが滑りこむ

技術選で活躍する若手現役選手の尾﨑隼士と齋藤圭哉が春の奥只見丸山スキー場を滑走し、それぞれが練習や大会で滑った思い出とともにこの地の魅力を語ってくれた。

尾﨑隼士が驚いた 長くて急なコブ斜面

僕がこのスキー場に来るようになったきっかけは、全日本学生スキー連盟に所属していた時のコーチだった豊野太平さんに声をかけていただき、春のコブ合宿に参加するようなったのがはじまりです。技術選が終わった4月上旬に2泊3日でコブを滑り込む合宿で、ここに来るようになって3シーズンになります。

僕は青森出身なので、最初は「4月の新潟に雪なんて残ってるの?」なんて思っていたんですが、来てみたら雪の多さにびっくりですよ。カモシカゲレンデの、リフト架線を越えて「Bコース」に向かう手前、右側に落ちてる急斜面が練習バーンだったのですが、急だしコブの段差もすごいし。「こんなとこ滑れるの?!」と驚愕しました。合宿ではこの天然コブを同じリズムで滑らないといけません。コブのピッチはちょうどいいんですが、途中でラインアウトしちゃうと「はいダメ〜。もう一回!」って言われます。コブのラインを下までクリアしないと帰れないんです。

そつなく滑るのではなく、いろいろな動きを試せますし、途中にミスがあってもちゃんとゴールまで滑りきる大切さを学びました。コブには理想的なきれいな滑り方がありますが、守りの姿勢では〝魅せる滑り〟ができません。練習では120%のギリギリの滑りで攻めて、大会では抑えめにするぐらいがちょうどいいのかもしれないと、意識もいろいろと変わりました。

 春でも朝一番は雪のコンディションがよく整地を滑ってももちろん楽しい。コース変化があって練習にいいなと思います。

齋藤圭哉は多彩なコースと絶景に感動

長野県の乗鞍温泉で育ったこともあり、小さいころから競技レースに打ち込んでいました。だから、このスキー場で開催されているFIS公認スラローム大会に出場したことがあるんです。高校1年から2年の頃、調子が悪くてよい成績が残せない時期に大会に出場したのですが、シーズン最終戦なのでFISポイントを「しっかり取ってやるぞ」という意気込みで挑みました。そのとき良い結果を出せ、それから調子が上がってどんどんポイントが取れるようになっていったんです。ポイントを獲得すると大会のスタート順が良くなり成績も上がって、その結果、大学1年生で日本代表に選ばれたので、僕にとって奥只見丸山スキー場は縁起がいいというか、良い印象のスキー場です。

高校の頃はみんなでマイクロバスに乗って奥只見シルバーラインのあの長いトンネルを通ってきたのを覚えています。大人になって自分の車で来てみると、あらためてすごい所にあるスキー場だなと感じましたよ。

春まで雪がたくさん残り、コースバリエーションが豊富でスノーパークもあるからジャンルにとらわれず幅広い滑りができる環境です。硬いコブは削られて段差になって滑りにくくなってしまうのに対し、ここのコブは軟らかくて形もいい。「Bコース」には長いコブがずらりと並び、滑りこむ人が多かった、その様子を見ていて「これは、うまくなるだろうな」と感じました。コブが苦手な人でも練習にいい斜面だと思います。

山頂のレストランから裏手に回ると奥只見ダムが見え、その向こうに山並みが続くロケーションも本当にいい。

尾﨑隼士

おざきはやと●1995年生まれ、青森県出身。幼少の頃からアルペン競技に打ち込み、2015年から全日本技術選に出場。21年にSAJナショナルデモンストレーター初認定。24年の第61回全日本スキー技術選手権大会では総合4位

齋藤圭哉

さいとうけいや●1996年生まれ、長野県出身。乗鞍高原で育ち、幼少期からアルペン競技に邁進。FIS公認レースでの優勝、入賞歴もある。スポーツ用品総合会社に勤務し、2021年に退職後は家業とスキーの両立に。24年の第61回全日本スキー技術選手権大会で3位入賞

気候がおだやかな春のスキー場で滑りを楽しむふたり。整地やコブなどさまざまなコースを満喫した

スキルアップが望める さまざまな環境

奥只見丸山スキー場は雪国、新潟県にあるスキー場のなかでも独特なゲレンデ。あまりに積雪が多いため、11月下旬のオープン後、1月のはじめにいったんクローズし、春に再びオープンするのが特徴だ。つまり、初滑りはパウダースノーの確率大。降雪機ではなく100%の天然雪をいち早く味わうことができるのだ。

3月後半のセカンドシーズンでは、シーズン後半にもかかわらず全面滑走可能。木々の新芽が芽吹きはじまる5月初旬までたっぷりスキーを満喫できる。特に春はコブが人気で「Bコース」が名物。斜面一面にコブがびっしりはりつき、斜度感あり、距離もありと滑り応え抜群。山頂の「丸山ゲレンデ」にはストレートバーンが広がり高速カービングが気持ちいい。標高1242mのゲレンデトップから山麓まで全長4000mのロングクルージングを春まで味わえることも希少だろう。また、4月27日、28日にはテクニカル・クラウンプライズテストの実施もある。シーズン中の練習の成果を試せる良い機会になるだろう。

スキルアップに最適なのが、完全予約制のレッスンを展開している奥只見スノーアカデミーだ。常設ポールやスタッフが整備したコブ斜面でトレーニングを行ない、大人はもちろん、小学4年生〜高校生を対象としたジュニアレッスンも開校。知識・経験豊富な講師陣がレベルに合わせた技術を伝え上達をサポート。テクニカルやクラウン、全日本ジュニア技術選などの対策も行なっている。レッスンの日程などの詳細は、スクール公式ウェブサイトから確認できる。

「四季倶楽部旅」のスキーツアーには、奥只見スノーアカデミーに所属するトリノ冬季五輪出場の佐藤真美さんによるレッスンが受けられる贅沢なツアーもある

奥只見丸山スキー場では、4月23日〜25日のシーズン終盤に「J-POWERスラローム競技会」を開催。FIS公認のスラローム大会最終戦とあって、参加レーサーだけでなく、選手たちの熱い滑りを見るために応援団もたくさん集り、会場は大いに盛り上がる。

迫力ある選手たちの滑りや会場を盛り上げるMCのトーク、有名スキーヤーが前走を務めるなど楽しみが多い「J-POWERスラローム競技会」。応援に来た人も満足できる賑やかな春の恒例イベントだ

リフト券&ランチがお得なパックもぜひ活用

ゲレンデ内のランチスポットは、山頂の「山頂ヒュッテ」、中腹の「ブナ平ヒュッテ」、山麓の「ゲレンデ大食堂」の3つ。1日券にランチ・ドリンクチケットが付いたお得なパックもあるのでぜひ利用しよう。また、山麓の「緑の学園」宿泊者は1日券が2500円(土日祝日・指定日は3000円)に。

奥只見ダムがすぐ側にあるスキー場は絶景フォトスポットもあり、夏から秋にかけてはダム湖で遊覧船も楽しめる。

カレーやパスタなどの定番料理がそろった「山頂ヒュッテ」。山頂エリアの「丸山ゲレンデ」を回すならこのレストランが便利だ
「山頂ヒュッテ」の人気メニューは2種類のソースを一度に味わえる「店長パスタ」。ボリューム感のあるハンバーグカレーも食べごたえあり
「Bコース」のコブ斜面をメインに活動するならコースのすぐ下にある「ブナ平ヒュッテ」がおすすめ。ケーキセットもあるので休憩にももってこいだ
山麓のリフト乗り場から近い宿泊施設「緑の学園」はゲレンデの拠点。連泊するほど宿泊費がお得になり、リフト券付きの宿泊パックもある
「山頂ヒュッテ」の裏手は絶好のフォトスポット。眼下に奥只見湖、山並みの向こうには尾瀬の燧ケ岳が見え、この絶景をフォトフレームのように収めたオブジェもある
国定公園に含まれる奥只見ダムは貯水量日本一を誇る。冬季は氷に閉ざされたダム湖は、夏から秋にかけては遊覧船が運行し、湖の周遊や尾瀬へと渡ることもできる。夏の新緑は爽やかで、秋は紅葉した山々が湖を取り囲む

奥只見丸山スキー場

奥只見丸山スキー場

新潟県魚沼市湯之谷芋川字大鳥1317-3
TEL:025-795-2750 http://okutadami.co.jp/ski/

【営業期間】
1st Season 2023年12月3日(予定)〜1月3日
2nd Season 2024年3月23日〜5月6日

【営業時間】
平日/8:30〜16:30 土日・祝日・特定日/8:00〜16:30

【リフト料金】
1日券/大人4,500円、シニア3,800円、中高生3,300円、小学生1,500円半日券/3,400円 2日券/7,500円

文:栗山ちほ / 写真:黒崎雅久、奥只見丸山スキー場