プレイバック・ルスツ技術選2024 女子総合トップ3インタビュー③
技術選
女子総合3位:春原優衣 Yui SUNOHARA
貫いたのは自分らしい滑り
──春原選手にとって今回の技術選はどんなものになりましたか?
春原優衣(以下、 春原) ひと言で言うなら、こういう滑りじゃなきゃいけないとか、評価の観点に無理やり寄せたりとかでなく、4日間を通して自分らしい滑りができた大会になったと感じています。それを評価いただいての結果なので、そこは光栄と受け止めています。
──今回の戦いぶりを見ていて、すこぶる安定感があるなあという印象を抱きました。予選から調子は良かったですね。
春原 私ももうベテランと言われるようになってきて、その一方で若い選手がどんどん出てきています。彼女たちは明確に自分の得意分野(種目)をわかっていて、それについては絶対に見せ場を作るという瞬発力のようなものがあると思います。だから、ある種目で大きな失敗をしても、得意な種目では確実にラップをとって挽回してくる、そんな戦い方ですよね、でも私たちは必ずしも種目別1位を狙うというより全種目確実に点数を加算していく戦い方というか、それが安定感と映るのかもしれませんが。私の場合、前回大会でそれを改めて学んだんです。
──予選はトップ通過、出だしから絶好調でしたよね。円熟の戦いぶりというか。
春原 若手選手のような爆発力、瞬発力がなくなっているだけかも(笑)。でもこれはみんなが通る道なんですよね私たちが、若手として出始めた頃は、当時の先輩たちに同じことを言われてたんじゃないかなって気がします。だからこそ今の私たちも、自分が得意な種目では、若手に負けないで絶対に見せ場を作るって思いがありますしね。
──予選トップ通過の後の心境は?
春原 ある意味予定通りというか。決勝やスーパーファイナルに何かを残しておくというのではなく、予選の段階で自分の仕上がりをしっかりアピールするという戦略がありました。ラップじゃなくてもいいから、1種目も落とさずにいい位置につけることで、「今年の春原はいいぞ」と印象付けたかったんです。目標についても、もちろん優勝を目指しますが、それよりも春原優衣の滑りをどこまで貫けるかがテーマだった気がします。
──そういえば今回、レーサー時代にチームメイトだった清澤恵美子さんがサポートしてくれたとか。
春原 応援に行けそうって北海道まで連絡をくれたんです。でも応援どころかフルサポート(笑)。決勝の中回りで失敗して落ち込んだ時も、ゲキを飛ばしてくれて。憧れの先輩が近くにいてくれたことは自分にとって大きな力になりました!
──今大会の春原選手の戦いぶりは、危うく感じさせるところがなく、これが経験値の高さなのかと。
春原 そう言っていただけるのであれば、たぶん自分の滑りを貫けたってことなのかな。
──283点で3位となったスーパーファイナルの「フリー 急斜面 整地(ナチュラル含む)」は、力感がこもっていて素晴らしい滑りでした。
春原 この種目だけ何かを変えたわけではないのですが、ロング系に関してはイメージを変えて大会に臨みました。大場朱莉選手も「優衣はロングがうまいのはわかってたけど、今まで見てきたどの滑りよりも今年のロングはいいパフォーマンスだった!」って言ってくれたんです。きっと自分では気づかないうちに良いイメージができていたのかも。
──最終順位としては女子総合3位。昨年と同じ結果になりましたが、これについてはどう受け止めていますか?
春原 同じ3位なんですけど、周りの方からいただく評価は今年のほうが圧倒的によかったんです。自分自身の感触としても、今年は「自分の滑りを最後まで貫けた」という実感がありましたし、それが実際に評価に結びついたのだとしたら、表現者としてこんなにうれしいことはありません。
──去年の3位は悔しい3位、でも今年の3位は収穫多き3位ということ?
春原 そうですね、きっと(笑)。