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未来へと続け! 新たな戦いを創造するVÖLKL TEAMのVISION

技術選

技術選に参戦するファクトリーチームとしては比較的大所帯を誇るフォルクルチーム。技術選通算6勝を誇るレジェンドプレーヤー柏木義之を筆頭に多くの選手を擁しているが、近年は若手選手の発掘育成に大きな力を注いでいる。学生チームやアンダー18チームといった取り組みも、徐々に結果を残しつつあり、技術選の未来に向けて新たな可能性を提示している。

技術選の将来を感じさせた若手スキーヤーたち

フォルクルチームは今大会、柏木義之、八重樫圭一といったベテラン勢に加えて、たくさんのフレッシュな人材を投入。彼らの多くは、フォルクルが選手育成プログラムとして取り組んでいる「学生チーム」「アンダー18チーム」に所属しているメンバーであり、今季が初出場となる選手も少なくなかった。

八重樫圭一

優勝や表彰台を幾度となく経験し、ファクトリーチームとして一定の実績と評価を得てきたフォルクルが、今あえて若い選手の育成に注力しているのには大きな理由がある。それは、これまでチーム全体が築いてきた歴史や伝統をベースに、より新しい考え方やトレーニング理論を構築し、「本質的なスキーのうまさ」を具現化できる選手を育てたいという狙いがあるからだ。

実原俊一

現在、技術選は「世代交代」という転換期を迎えている。長い間、シーンを牽引してきたベテランたちの勢いを、真正面から脅かすような新人も現れてきた。戦いはますます過酷で激しくなっている。そのなかで、フォルクルの「若い力たち」は果敢に自己の滑りを表現し、ポテンシャルの片鱗をアピール。彼らの滑りからは、技術選の未来を垣間見ることができた。

石川千尋

渡邊岬に続く将来有望な女子選手たち

今年のフォルクル女子チームには、いくつか楽しみなトピックがあった。ひとつは渡邊岬がどこまで上位に上がれるか? もうひとつが若手選手のチャレンジングな滑りであった。

渡邊 岬

渡邊は、昨年2連覇を達成した妹、渡邊渚が今年は出場していないことから、「そのぶん自分がやらなくては!」という強い気持ちを抱いていたという。そつのない試合運びをしていた彼女だったが、「ショートターンスラッシュスペースレギュレーション(中急斜面/整地ナチュラル含む)」のミスが響き、予選を27位という微妙な位置で通過。決勝で順位を上げたものの、21位と振るわなかった。しかし、ポテンシャルの高さをアピールできた場面も随所にあり、本人にしてみれば「このままでは終われない」という思いだろう。

齋藤くる美

若手選手は、第52回岩岳学生スキー大会基礎の部で表彰台を独占した上杉歩美(1位)、齋藤くる美(2位)、林桃花(3位)の3人が奮闘。上杉、林は惜しくも予選を通過できなかったが、齋藤は決勝に進出し、女子総合女子36位という成績を残した。彼女らはフォルクル学生チームが技術選に送り出したメンバーであり、これからの活躍に大きな期待がかかっている。

上杉歩美

林 桃加

存在感を示すベテラン勢と輝きを放つ原石たち

柏木義之

長くフォルクルチームを牽引する柏木義之だが、今大会では男子総合38位に終わった。しかし、彼のスキー観や大会にかける姿勢などは、確実に若い世代の選手たちに引き継がれている。

篠田大輝

上位進出が期待された篠田大樹は、男子総合68位と振るわなかったものの、決勝の「フリーロングターン/ウェーブ(中急斜面/整地・ナチュラル含む)」で種目別別35位、「ショートターン/モーグル(急斜面/不整地)」でも37位など、要所で好得点をマークした。

小林泰智

フォルクル学生チームのメンバーである小林泰智は、総合では1‌1‌0位に終わってしまったが、ダイナミックかつ安定感ある滑りで、これからに期待がかかる存在。本来の実力を十分発揮できなかったことは悔やまれるが、将来性をしっかりアピールした。

石井太雅

また、石井太雅も実力を出し切れなかったひとり。予選のフリーロングターン/ウェーブ(中急斜面/整地・ナチュラル含む)」では2‌6‌5点で種目別29位を記録し、上位進出が期待されたが、不整地種目で安定感のなさが露呈し、大きく失速してしまった。だが、彼らの戦いはまだ始まったばかり。原石が本来の輝きを放てるか否かは、本人たちの踏ん張りにかかっている。

太谷敏也コーチが描く青写真

個々の努力にしっかりと応えられる、そんなチームを作りたい

──現在のチームの体制について教えてください。

「現在フォルクルでは、従来からの全日本チーム、マスターズチーム、学生チームに加えて、2年前にアンダー18チームを発足させて、全体としてのチーム体制をより強力なものにしています。ここ数年の技術選は、テクニックの進化が凄まじく、そこで見ることのできるスピードスキーコントロールは、かつてとは比較にならないほど高度なものになっています。それらは高い身体能力やフィジカルなしには語れません。私たちは、全国から若く意欲あるスキーヤーを広く集め、できるだけ早い時期から本格的なトレーニングに触れながら、スキーヤーとしての洗練度を高めてもらえるような取り組みを目指しています。そのひとつの例がアンダー18チームなのですが、そこでは基礎スキーだけでなく、アルペン競技やパウダーランの経験も積めるようにして、偏りがない技術が身につくようにしています。学生チームもアンダー18チームも、同じ合宿体制の中でやっていて、ゲストコーチとして酒井拓也選手に来てもらって一緒に練習したり、若い世代とベテラン世代がともに高い目標をめざせるようにしているのも特徴です。学生やアンダー18のメンバーだけで練習していると、どうしても目標とする到達点のようなものが見えにくいときがあります。そういった場面では、豊富な経験を持ったベテラン選手の意見や行動が大いに参考になるものですし、柏木選手や八重樫選手をはじめ、良い手本が近くにいるというのが、私たちチームのメリットでしょうね」

酒井拓也

──そういった取り組みの結果として、多くの選手の活躍がありましたね。

「アンダー18の1期生である高校2年生の宮島日奈子が決勝進出という成績を残してくれました。記録としてはまだまだ満足のいくものではありませんが、将来に向けて大きな期待を感じさせてくれたのは確かです。また、岩岳学生スキー大会で女子の1、2、3フィニッシュを飾った上杉歩美、齋藤くる美、林桃花の三人も、果敢な戦いを見せてくれました。とくに齋藤は見事に決勝に残り、総合でも36位という結果を出してくれました。また男子も、全体としては伸び悩んだ結果ではあったものの、篠田、小林、石井といった顔ぶれが、要所ですばらしい滑りを披露してくれ、来年への楽しみを与えてくれたと思っています」

宮島日奈子

鈴木彩夏

市川紗理奈

──最後に、コーチとしての役割や使命について教えてください。

「私たちコーチの役割は、選手の個性や良いところを最大限に引き出してあげることです。そのためには基礎だけでなく、いろいろな分野のスキーを体験させてあげること。そして、選手それぞれの声をしっかりと聞き、彼らの努力にさまざまな形で応えられるようにすることです。決して焦らずにじっくりと。そのためにも今後はさらなる整備を進め、より良いチームにしていきたいと思います」

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