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HEAD JAPAN REBELS レーシングキャンプレポート

ギア・アイテムイベント

今年もヘッド・ジャパンレベルズのスプリングキャンプが各地で行なわれた。そのスタートとなった北海道・ニセコモイワ会場には、ミラノ・コルティナ2026冬季五輪女子スラローム銅メダリストのアンナ・スヴェン=ラーションを招聘。圧倒的な滑りに加えて楽しくパッションあふれるコーチングに、参加したヤングレベルズは大いに刺激を受けていた。

ビッグイベントで存在感を示したヤングレベルズ

2025/26年は4年に一度のオリンピックシーズン。イタリアのコルティナ・ダンペッツォ、ボルミオで行なわれたアルペン競技でも、さまざまな話題やドラマが生まれたが、その中心はやはり「ヘッド・ワールドカップレベルズ」だった。

幕開けは、初出場で絶対王者を遠く引き離したフランヨ・フォン・アルメン(SUI)がゴールドメダルを獲得した男子ダウンヒル(DH)。オープニングゲームで勝利した彼は、続くチームコンバインド(CB)、さらにはスーパーG(SG)でも表彰台の中央に立ち、3つの金メダルを首にかけた。また、ヴィンセント・クリヒマイヤー(AUT)らの活躍もあり、男子レベルズは5つのメダルを獲得した。

女子はエマ・アイヒャー(GER)が女子DHとCBで2つの銀メダル、CBではアリアネ・レードラーが金メダルを獲得。ジャイアントスラローム(GS)でサラ・ヘクターが銀、スラローム(SL)ではカミーユ・ラスト(SUI)の銀、アンナ・スヴェン=ラーション(SWE)の銅に加え、ウエンディ・ホルデナー(SUI)も4位と男子以上にレベルズが躍動した。

終わってみれば金4、銀6、銅2と、男女合わせて12個のメダルを獲得。また、残念ではあるがリンゼイ・ボンの大クラッシュ、アトレ・リー・マグラスのコースアウト後の悲しみぶりなど、メダルレース外でもレベルズが存在感を示した。

五輪銅メダリストのアンナ・スヴェン=ラーション

彼らはワールドカップ(WC)でも強さを見せ、マグラスが種目別男子SL、ラウラ・ピロバノ(ITA)が同じく女子DHでチャンピオンとなり、オールラウンダーのアイヒャーが女子総合2位に輝いた。メーカー別ランキングはDH、SG、SLいずれも1位。トータルもダントツで、ヘッドスキーが6年連続でチャンピオンに輝いた。この中にはけがで途中離脱を余儀なくされた小山陽平が、開幕から2戦連続で挙げたポイントも含まれている。

左からラーション、選手兼コーチで参加の石塚結、畠中悠生乃、スキークロスで五輪出場の向川桜子

そんな彼らに負けじと、日本のヘッドチーム「ヘッド・ジャパンレベルズ」も存在感をアピールした。シーズンイン直後の中国FISレースでは女子GSで優勝の石塚結を筆頭に5位までを独占、10位以内に8名を送り込んだ。これを皮切りに小山敬之のファーイーストカップSL優勝、インターハイでメダルを含む複数入賞、インカレ男子SLで鎌田宇朗と野澤雪丸のワンツー、女子SLで大西美琴の優勝、全日本選手権男子SLで新加入の山越凉平の優勝など、レベルズが各大会を席巻した。

来シーズンへ向けてメダリストとスタート

スプリングキャンプはレベルズにとって来シーズンのスタート

ヘッド・ジャパンレベルズは、レースシーズンが終わる3月下旬から各地でスプリングキャンプを行なっている。これは登録選手のみ参加可能で、完全な強化合宿の形をとっているのが特徴。また、来シーズンへ向けたスキーのテストも兼ねており、選手たちもシーズン「終わり」ではなく「スタート」のキャンプと位置づけている。

スタッフ陣もスキーの技術面を担当するヘッドコーチの滝下靖之はもちろん、フィジカル面を元全日本ナショナルチームトレーナーの橘井健治、マテリアル面はWC転戦の経験もある藤本寛サービスマンと、チームをあげての体制。さらには各地で日ごろから選手たちを見ているオピニオンコーチも参加し、ヘッドメソッドを共有しながらのトレーニングを行なっている。トップチームやFISチームの現役選手、荒井美桜らOB・OGが招聘され、技術面、調整面を伝授する。

何度もデモ滑走を行なうラーション

そして今回、ニセコキャンプには、ミラノ・コルティナ2026冬季五輪の女子SLで銅メダルを獲得したアンナ・スヴェン=ラーションがスペシャルコーチとして参加。メインのキャンプの前日に行なわれたトップレーサーズ・キャンプを含め、ジャパンレベルズとともに特別な4日間を過ごした。

19歳でWCデビューを果たしたラーションは、身長180cmと大柄な体格を生かしたパワフルな滑りが身上のSLスペシャリスト。これについては「スウェーデンにはオーレのような大きなスキー場もありますが多くは小さなゲレンデで、スピードトレーニングにはあまり向いていません。私が育った地域でもGSやSLがメインだったので、SLでトップレベルになれたのだと思います。また、スウェーデンからは技術系のスター選手が多く生まれていて、彼らを目標に努力できたのも理由の一つですね」と話す。地勢的にスウェーデンと日本は似ているようだ。

ラーションは、雪上練習後のビデオミーティングでも熱心にアドバイス

18年からWCのSLで総合一ケタ台に定着、けがもあったが23年には初優勝し、これまでに2勝を挙げている。世界選手権には6回出場、19年の地元オーレ大会で銀メダルを獲得。オリンピックは14年のソチ大会から連続4回出場。ミラノ・コルティナでついにメダルを獲得した。

「私は少し遅咲きだったかもしれませんが、WCでトップシードを維持できたりオリンピックでメダルを取れたのは努力のたまものだと思います。けがなどの挫折もありましたが、自分や支えてくれる人たちを信じ続けること、前向きで冷静でいること、目標を高く持ち決して諦めずに闘い続けること、そしてなによりも楽しむことを大切にしています」

デモ滑走から追い撮りまで楽しく真剣にコーチング

積極的にコミュニケーションをとるラーション

スプリングキャンプは中学生以下のヤングレベルズが中心。26年も彼らの勢いはものすごかった。全中では男子GSで金沢拓が準優勝し3名の入賞者、同じくSLで我孫子晴真が3位。女子はGSで堤柚葵、大黒眞優、関川翠桜が表彰台を独占し6名が入賞、SLでも佐々木里和子の準優勝をはじめ4名が入賞。ジュニアオリンピックではとくにK2世代が男女とも優勝を含む大量入賞を果たした。また、2月に行なわれたFISチルドレンレースの最高峰・アルプチンブラに金沢と女子の原美空乃が出場。同じく8名が派遣されるウィスラーカップには、レベルズから5名の選手が選出された。

4月上旬とは思えない絶好のコンディション

今シーズンは日本中のスキー場でコンディションがあまり良くなかったが、ニセコモイワスキー場のバーンは完璧。午前中はSL、GS、ショートポールのセットで雪上トレーニングを行ない、午後はコンディショニングトレーニングにビデオミーティング、チューンナップセミナーが行なわれた。

ゲストとして招かれたマティアス・レングレン(SWE)

ラーションは主にSLを担当し、滑りのアドバイスはもちろん、デモ滑走や滑りをビデオで追い撮りするなど本気のコーチング。また、ともにゲストとして招かれたWCレーサーのマティアス・レングレン(SWE)も、身振り手振りを交え、ときには雪を指でなぞってラインを説明するなど、彼らの貪欲な姿勢に応えていた。まだスキーが履けない小山陽平も「オレが通訳するから、質問があったらなんでも聞きなさい」と最大のバックアップ。

レングレンの通訳を買ってでた小山陽平(左)

彼らの滑りを見たラーションは、「速く滑るための鍵は上半身のポジションを保つことだと思っています。それはスキーのトップを感じることから始まります。選手たちはアドバイスに真剣に耳を傾け、すべてを吸収したいという意欲を強く感じました。素晴らしい技術を持った選手もいて、このまま成長を続ければ素晴らしいWCレーサーが生まれるはずです」とコメント。ヤングレベルズも、メダリストの熱意と激励を感じたに違いない。そしてさらなる成長を見せてくれるはずだ。

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