REXXAM PLUSの世界戦略
ギア・アイテム

性能至上主義を掲げるレクザムが「REVO POSITION」や「AUTO FIT」「LINK FRAME」などレクザム・エボリューション・コンセプトを搭載した「REVO」シリーズのブーツを発表したのは2019/20シーズン。同時期に世界最速の野望のもと開発が始まったリアルレーシングブーツ「REVO R」シリーズは、25/26シーズンにデビューを果たした。競技者をターゲットとする両シリーズは、各カテゴリーでスキーヤーの足元を支えている。
同じくレクザム・エボリューション・コンセプトのもと、「REVO」シリーズの翌年に発表されたのが「REVO PLUS」だ。このモデルはより幅広い層をターゲットにしており、高い性能と快適な履き心地で多くのスキーヤーの心と足を雪山に向かわせている。そんな「REVO PLUS」が、26/27シーズンに向けて、世界戦略モデルに進化して登場する。
きっかけはWCレーサー片山龍馬へのサポート体制
レクザムはメーカーとしてブーツを製造する一方、20/21シーズンからストックリー・スキーの販売も手がけている。今回「REVO PLUS」を進化させる過程においては、ストックリーとのパートナーシップも大きなポイントとなった。両者の関係性について、興味深いエピソードを紹介しよう。
片山龍馬というレーサーがいる。その才能に注目したレクザムは、彼をWCレーサーに育て上げ、日本製のブーツで日本人が世界の頂点に立つという野望を持つに至る。そして社内、レース現場にチームを組み、国内外を転戦するなかで世界最速のブーツを練り上げていった。こうして誕生したのが「REVO R」シリーズだ。
レクザムのブーツとストックリーのスキーを駆る片山は、24/25シーズンのジャイアントスラローム(GS)開幕戦でWCデビューを果たすまでに成長。現在もWCをはじめヨーロッパを含む海外、国内最高峰のレースでひときわ選手層の厚いGSをメインに戦い続けている。彼の成長ぶりにはストックリーも関心と期待を寄せ、アジアの選手として初めて、いわゆる本社契約選手としてサポートを行なっている。

レクザム&ストックリーのコンビネーションでレースを戦う片山龍馬
ストックリーはまた、レクザムが主導しWCレーサーをサポートし続けていることに驚きと興味を持った。このサポートについて片山は「開発当時から、数多くのテストの場を設けてくれたり僕の細かいリクエストにも妥協なく対応してくれて、とても感謝しています。コーチやサービスマンなど人的なサポートも万全を期していただいて、チームとしてレースに臨める点でも心強く感じています」と語っている。さらにはデモシーンでのレクザムチームの活躍もあり、日本でのストックリー販売の好調さも驚きに拍車をかけた。
これらによって関係性がより深まった両者は、片山に対するレクザムの育成・サポート方針を尊重した上での協業体制を始動。そしてストックリー・スイス本社の社員がレクザムの全モデルをテストし、レーシングモデル「REVO R」へのフラッグシップとしての高評価とは別に、より多くのスキーヤーに受け入れられるモデルとして「REVO PLUS」をピックアップ。ヨーロッパでの販売を見据えたモデルとして進化させることになったのだ。
高性能スキーの代名詞的存在で、WC男子総合5連覇中のマルコ・オーデルマット(SUI)を擁するストックリーが、スキー以外のギア、それも日本製のブーツの販売をサポートするのは異例中の異例。これは両者のスキーへの情熱と、物づくりに対するこだわりが共鳴した結果と言えよう。
環境・スタイルに合わせてシェルの剛性をさらにアップ
ニューモデルの開発に際し、ブーツ全体としてはさらなる「軽量」「快適」「高剛性」がテーマとなった。これはレクザムのアドバイザーで、現役時代のWC転戦などからヨーロッパの事情もよく知る岡田利修が「ヨーロッパは広く、長く、山全体が『ゲレンデ』。それに気温が低く雪も硬く締まっています。そんな環境では、自然と滑走スピードが上がり、距離も滑走時間も長くなります。さらに欧米人は体格が良くパワーもあるので、インターナショナルモデルは環境、スタイル両面への対応が求められるでしょう」と話すように、必須条件だった。
REVO PLUS 130

¥125,400(税込)
Size=23.0~28.5cm
Lust=Aut Fit M 96-102mm
Flex=130
フレックスは70~130(10刻み)の7モデル。すべてのモデルでAUT FITを採用。ヨーロッパ併売モデルの120と130は早期受注限定となる
こうしてリファインされた「REVO PLUS」。シェルはパートによって肉厚を変え、手指の関節のように働いて足を均一に包み込む「AUTO FIT」を全モデルに継続採用。インターナショナルモデルとなるフレックス130と120モデルはロワシェル、アッパーシェルともに軽量・高剛性の素材に変更。ソールは軽量化とブーツが微妙にねじれることでターン前半でスキーを動かしやすい形状に。ソールプロテクターも従来の3mmから5mmと肉厚にし、耐久性をアップさせている。

シェル素材とソール形状を変更し、より軽量でかつ高剛性を両立
新たに開発されたオートフィットインナー登場
最大の進化は、インナーブーツを新開発、フルモデルチェンジし「AUTO FITインナー」を採用したことだ。第一に足入れの良さを考え、インサート部分のライニングを変更。日本人だけでなくヨーロッパ人の足型にも合うラスト形状に見直し、より快適性を持たせた。そのつま先部分には旭化成(株)のサーモ素材「サーモギア®」を採用し、単なる保温に留まらない温かさを追求したという。
AUTO FIT INNER

足入れ、フィット感、温かさを徹底追求しフルモデルチェンジして登場。インナー内側は快適性、外側は剛性を高めた。シェルのAUTO FITのアドバンテージを最大限に引き出す
すでに25/26シーズンから「REVO PLUS」を使用している岡田は「イージーです。本当に簡単に足が入るのには驚きました。レーシングブーツの究極のタイトさはありませんが、ラストの形状も相まって指先に窮屈感がなく足裏全体で接地し、足指で雪面をつかんで使える感覚があります。また、サーモ素材の効果もあり、指先の血流が滞らない感じでとても温かく、とにかく快適です」と履き心地の良さを話してくれた。
足首まわりのアイコニックなオレンジ色のパーツと周辺の黒い部分は、厚みの違う特殊樹脂コーティングを配置。へたりにくさを確保するとともに、「AUTO FITインナー」たるゆえんとも言えるフィット感を自動的に調整する機能を持っており、シェルとの相乗効果で確実な上に長時間の使用でも疲れない快適なフィット感を提供してくれる。
昨年の秋にはヨーロッパでのテストを行ない、最終改良も終えた「REVO PLUS」は、26/27シーズンに日本およびヨーロッパでデビューする予定。国産ブーツが世界を目指し新たな一歩を踏み出す。
2種の樹脂で剛性UP

足首周りには厚さの違う2種類の特殊樹脂コーティングを配すことで剛性をアップ。足型に合わせてフィット感を自動的に調整する機能も持っている。100〜130に搭載
サーモギア®素材採用

つま先から母指球、小指球の位置までに旭化成(株)の高機能繊維素材「サーモギア®」を配置し、保温以上の温かさを実現。足先の冷えと蒸れをやわらげ、一日中、快適に過ごせる
新形状のラスト

欧米人でも快適に履けるよう、親指側と小指側のラウンド形状を非対称に見直したラスト。小指側に余裕ができることで幅広の足型でも窮屈さを感じず足指を使うことができる
対応幅が広がったREVO Rシリーズ
レーシングモデルの「REVO R」シリーズもサイズとフレックスのレンジを増やし、3モデルから6モデルへとラインナップが充実する。
サイズは「RR」「RH」が23.0cmから、同じく「RS」は22.0cmからとサイズの小さなモデルを追加。フレックスは、これまでの150(RR)、130(RH)、120(RS)の3フレックスに加え、「110R」「100R」「90R」とソフト側に3モデルが登場。これら3モデルのサイズは、「110R」と「100R」が22.0~27.5cm、「90R」が22.0~26.5cmとなっている。
REVO RS

¥140,800(税込)
Size=22.0~27.5cm
Lust=92mm
Flex=120
「REVO R」シリーズはソフトフレックスが加わり全6モデルに。サイズもミニマム22.0cmからとなり、対象がジュニアのレーシングや技術選、女性エキスパートまで広がった
サイズとフレックスの2方向が拡充されたことで、片山に続くジュニアレーサー世代も彼と同じ性能のブーツが使用できることになった。同様に女性の競技者にも対応幅が拡大。SAJナショナルデモンストレーターの太田好美もその恩恵を受けた一人だ。その太田は「REVO RSのサイズが広がったことで、ようやく私もRブーツが履けるようになりました。妥協のないブーツで滑りのシルエットが変わりましたし、切りかえで乗りたい位置に移動しやすく前半のポジションを素早く決めやすいので、シャープでクリーンなターンを描きやすくなりました」とレーシングブーツならではのフィーリングを感じている。
レーシング、技術選と、コンペティションシーンで「REVO R」が旋風を巻き起こしそうだ。

サイズレンジが広がった「REVO RS」を使用する太田好美