VÖLKLデモ系レースタイガー一新!
ギア・アイテム

上級・エキスパートスキーヤーに根強い人気を誇るフォルクルのデモ系レースタイガーの上位機種が、来季一新される。定番のGS、SLはフルモデルチェンジ。ショート〜ミドルターンの適性を持つMCがデビューし、ラインナップの顔ぶれもフレッシュなものとなった。各地の試乗会でも評判を呼んだ3機種は、いったいどのようなスキーなのか。その実像に迫る。
黄色のGS、トップ部を改良したSL、新登場のMC

優れた操作性とグリップ力を兼ね備えるフラッグシップシリーズ『レースタイガー』。同シリーズには競技系とデモ系の2系統がラインナップされているが、来季はデモ系モデルが一新され、そのグラフィックと性能に注目が集まっている。
なかでも話題を呼んでいるのは、『レースタイガーRC』の後継機種にあたる『レースタイガーMC』。MCは〝マルチカーバー〟の意で、ショート〜ミドルターンの適正を持つニューモデルだ。開発にあたっては、センター幅やサイドカーブの設定を見直し、オールラウンド性能を追求。トップ部分にカーボンファイバーを編み込む「テイラード・ファイバー・プレースメント」を、芯材のウッドに立体的なグラスファイバーのシートを圧着する「3Dグラス」を採用することで、たわみやすくてねじれないスキーに仕上がっているという。また、足元の荷重感を引き出す新プレートシステムを標準装備。スキーのたわみをより一層引き出し、パワー伝達を高めることに成功した。サイズは155、162、169、172cmを展開。ブラックとブルーの2色がラインナップされている。
テイラード・トーション・ウッドコア

サイドウォールとエッジ部分にはスティックウッドを配置。センター部にラミネート木材を使用することで、ダイレクトで正確なターンの始動、高速域での安定性、シャープでスムーズな抜けを実現する
デモ系レースタイガーはGS、SLともにフルモデルチェンジされた。おおよそ四半世紀の間、グラフィックカラーにGSはレッド、SLはイエローが採用されていたが、来季はブランドカラーのイエローに統一。ビーチとポプラを精密な構造設計に基づいて組み合わせる「テイラード・トーション・ウッドコア」を改良することでトーションバランスを強化し、従来モデルよりもエッジグリップを強く感じられるようになったという。また、オンピステスキー専用のトゥールレス・プレートバインディング・システム「Rモーション T 12」を標準装備。強度と剛性が向上し、パワー伝達とエッジリリース時のフィードバックが改善された。さらに、SLはトップ幅を1mm減少させたことにともない、トップ部に刺しゅうのように編み込まれるカーボンファイバーのデザインを微調整。スキーの切れと走り、エッジグリップが向上し、より少ない力でねらったラインを攻められるようになった。
テイラード・ファイバー・プレースメント

トップ部分に刺しゅうのようにデザインされたカーボンファイバーを配置。カーボンの厚み、ミリ単位の配置変更でフレックス、トーションを最適化する
ちなみに、GS、SLの両モデルは、シリーズ内では競技系モデルと同ランクに位置するものだが、その性格は大きく異なる。具体的には、競技系が自分でたわませるポイントを調整したり、走らせるタイミングを調整しやすいつくりになっているのに対して、デモ系は操作が容易で、オートマチック性を持たせたつくりになっている。ゲレンデでの使用を前提とするならば、やはりデモ系が有力な候補になるだろう。
それぞれ個性的なニューカマーたち。選択する際には、自分の求めるターン運動を基準にしてほしい。ロングターンに重点をおいて組み立てるのならGS、カービングショートならSL、ミドルを中心にカービングの基本から習得したいのならMCをセレクトすれば、理想とする一台に近づけるはずだ。
3Dグラス

平面的なグラスシートをセンター部・ビンディングの下に配置。トップとテール部分はサイドウォールの上までグラスシートが張り出しており、この構造によって硬いバーンでのエッジグリップを向上させている
Rモーション T 12

フレックスを妨げず、スムーズなターン性能を発揮する新アブソーバー。システムの強度と剛性が向上し、パワー伝達性とエッジリリース時のフィードバックが改善された
話題のニューカマーのお手並み拝見!
本誌スタッフが、ひと足お先に話題のニューモデル3機種を試乗体験。独断はあっても偏見はなし! 技術&体力レベル、志向の違う4人が赤裸々に語り尽くします。

編集部J・S:四半世紀前にテクニカル&準指導員を取得した55歳♂。173cm、73kg
編集部K・S:達成不能なテクニカル合格を夢見る46歳♂。169cm、82kg
編集部Y・M:今年8回目の挑戦でテクニカルに合格した54歳♂。174cm、70kg
ライターC・K:幼少期から近隣の山岳ゲレンデを滑り込んできた♀。足前は中の上
MCはミドルターン適正が高くカービング導入に最適

K・S 今日は4人で来季注目のニューモデル3機種を乗り比べてみたわけだけど、まず新たにラインナップに加わったMCの印象から聞いてみたい。Y・Mはどうだった?
Y・M どちらかと言うとドライな乗り味で、切れ味は良いのに、がっちりとエッジをとらえる感じでもない。自在性の高いスキーだなと思った。スキー自体もとても軽量で、疲れなくていい。
C・K 私が試乗したときは、だいぶ雪がザブザブしてきていたんだけど、春の悪雪の上をスルスルとスキーが動いてくれて、すごく楽。自分には少しサイズが長い(169cm)のに、とくに扱いづらさを感じることもなかったので、いろいろなところを楽しめると思った。
J・S 操作が簡単で、オールラウンド性も感じるけれど、整地のミドルターン専用マシンという印象。このスキーが得意とするターンサイズ、リズムにはまると気持ちいい。とくにミドルはスキーがしっかり仕事をしてくれるので、1級レベルの人がカービング操作を洗練させていくときの手助けになる一台だと思う。
K・S 角づけを強めてカービングで滑ると、ヒュンヒュン切れ味鋭くまわって楽しいよね。それほどスキーをたわませなくても、角づけすればターンを描いてくれるので、カービングの入り口としてはありだよね。
GSはなんでもできるオールラウンド性に脱帽

J・S GSはとてもしなやかで、しっとりしていて、正統派のGSスキーのテイストを感じるんだけど、レーシングスキーのようなむずかしさは皆無。足元がすごくきれいにたわんで、エッジもほど良くかんでくれるので、すごくなめらかにターンを描いてくれる。レスポンスも早すぎず遅すぎず、ちょうどいいあんばい。
Y・M 適度な重さがあって、適度なとらえ感がいいよね。スキーが勝手にとらえてギュンと入ってくるのではなく、斜面を落ちながらグリップが強まってくれるので、イメージしたラインをトレースしやすかった。本格的なレーシングモデルのようなむずかしさもないので、1級レベルの人なら気持ちよく滑れるんじゃないかな。
C・K あの長さ(173cm)のスキーだと、いつもは斜滑降を左右に繰り返すだけになっちゃうんだけど、このスキーはしっかりたわみが感じられて、ターンすることができた。言わずもがな安定感もあるので、調子に乗って飛ばしちゃった(笑)。
K・S 自分は大人のオールラウンドスキーという印象。ショート〜ロングまでフルカービングを求めるトレンドから脱却して、たとえばひねり操作だったり、ズレのコントロールだったり、持っている技術を総動員してターンを描いていく楽しさ。そういうのをサポートしてくれるスキーだと思った。マイルドな乗り味で、切れ感、抜け感もちょうどいい。こういうスキーは貴重だよね。
J・S ずらし操作のショートターンもまったく問題なくできて、コブも普通に滑れるよね。これでプライズテストを受検してもいい。マスターズの技術選に出る人にもいいんじゃないかな。
K・S テールが引っかからず、きれいにまわってくれるから、ショートも気持ちよく滑れる。あと、173㌢というサイズもいい。だいたいオールラウンドモデルは165㌢前後だけど、170㌢を超えてもこんなにオールラウンドに滑れるんだという発見もあった。
Y・M 最近はSLベースのオールラウンドタイプが多いから、GSベースは新鮮というか、あらためて良さを感じたよね。
滑り手によって印象が変わる懐の深さが魅力のSL

K・S SLはギュンギュンと、ひたすらカービングって感じで、カービングのショートに特化したモデルという印象。ただ、ビタッと張りついてまわってくるから、身体が置いてかれる感覚はない。
J・S グリップが強くて、シャープに抜けていくところが、いかにもSLをベースにしたオールラウンドスキーという感じ。ポテンシャルを引き出すには、プライズレベルはあったほうがいい気がした。
Y・M 自分はそれほどショートに特化しているという印象はない。グッと強く踏み込むとギュンと入ってくるけど、斜面を落ちながらトップが食うのを待って、スキー任せに滑ればミドルは十分、もう少し大きなターンもいけると感じた。いい意味でトップにルーズさがあるので、タイミングのとり方しだいでターンサイズはコントロールできるんじゃないかな。操作感もオートマチックで、なんでもできる。
C・K 私はこれが一番楽に滑れた。スキーがしなやかにたわんでターンを描いてくれるので、すごく気持ちいい。つねに身体の下にスキーがある感覚があるので、安心してスピードも出せる。操作感はフルオートマというよりは、セミオートマという感じかな。適度に操作している感があるのも、満足度を押し上げてくれた。すごく楽しい一台。
K・S 人によって印象が違うのが興味深い。それだけ懐の深い一台と言えそうだね。
VÖLKL DEMO TEAMの声
ポジションをキープするだけできれいに円い弧を描いてくれる

八重樫圭一(元SAJナショナルデモンストレーター)
レースタイガーGSは、たわみが出やすく、いいポジションをキープしているだけで、きれいに円い弧を描いてくれる印象です。トーションがしっかりしているので、エッジグリップも申し分なし。スキーの面を使う意識で滑ると、性能を引き出せると思います。サイズしだいで、ショートターン、コブにも対応できるので、プライズテストやマスターズ技術選にチャレンジする人に適しています。汎用性の高さで選ぶなら、173cmがおすすめです。
マイルドな乗り味で操作性もグッド! カービングショート習得に最適

渡邊 岬(2023年技術選総合12位)
レースタイガーSLは、乗り味がマイルドで、急斜面を滑っても角づけしやすいし、春の軟雪でもトップの浮力を感じられて滑りやすかったです。搭載プレートも軽量で、操作性もグッド。足元が軽く感じられるので、コブも滑りやすい。プライズテスト合格をめざす人はもちろん、脚力に自信がない人でも使えると思います。トップの食いつきがいいので、カービングのショートターンを習得するのにも最適。女性は155cmをチョイスするといいでしょう。
マルチカーブの名称のとおり一台で検定種目すべてをこなせる

石川千尋(SAJデモンストレーター)
レースタイガーMCは、マルチカーブという名称のとおり、ミドル〜ロングターンはもちろん、ショートへの対応力も高く、これ一台で検定種目はすべてこなせるオールラウンド性を備えています。センター幅が71mmと広く、足元が軟らかくてたわみやすいので、カービングもスキッディングも自由自在。1級受検に最適だと思います。トップの食いつき、スキーの走りもちょうどいいので、カービングのコントロールを習得するのに最適だと思います。