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第58回 技術選プレビュー 2年ぶりの激闘が間近に。

第56回男子総合優勝:武田 竜

今大会、ディフェンディングチャンピオンとして挑む武田竜。圧倒的なターンスピードとスキーの切れで、2連覇を成し遂げるか?

第56回女子総合優勝:栗山未来

一昨年も圧倒的な強さで女王の貫禄を見せつけてくれた栗山未来。そのパワフルな滑りは、今大会でもギャラリーを沸かせてくれるに違いない

武田 竜の初優勝、そして栗山未来の3連覇で幕を閉じた第56回大会から、はや2年……。
新型コロナウイルスの感染拡大によって昨年大会は中止となったため、今年は2年ぶりの開催となる全日本スキー技術選手権。
会場プロフィールから新たなジャッジシステム、注目選手へのインタビューなどで、その全容に迫る!

平成最後の技術選となった第56回大会から2年。昨年の開催中止を経て、久しぶりに技術選が帰ってくる。基礎スキーファンにとっては、年に1度の祭典であり、また選手にとっても己のパフォーマンスを試す最高峰の大会だ。今年は、聖地八方尾根から新潟県の苗場スキー場に会場を移し、種目設定やジャッジシステムなどを一新して開催される。

今大会が行なわれる苗場スキー場は、過去に技術選を5回開催しているが、記憶に新しいのは2008年の第45回大会だ。この年の優勝者は、男子が井山敬介(2連覇)、女子が松沢聖佳。ワールドカップのアルペン競技が行なわれるタフなコースを使用し、技術的にもハイスピード化が顕著な大会であった。今大会でも前回同様、「男子リーゼンスラロームバーン」が使用されるが、苗場での開催が13年ぶりであることを考えると、全日本でこのコースを滑るのは初めてという選手も少なくないはず。そういった選手たちにとっては、刺激的で気持ちを奮い立たせるようなお膳立てがされていると言ってよいだろう。統括を務める出倉義克は、次のように語る。

「今回の見どころは、何といっても男子リーゼンスラロームコースを使用した大回り系種目およびスーパーファイナルの『総合滑降』になるでしょう。急斜面ということもあり、これらの種目ではターンスピードが勝敗の鍵を握ることになります。アルペン競技出身者はスキーの切れや走りで勝負してくるでしょうし、生え抜きの基礎スキーヤーは切れに加えて正確なスキーさばきでアピールするでしょう。しかし、どちらの選手にとってもスピードの追求は不可欠となるはずです。それでなくても身体に大きな負荷がかかる急斜面でハイスピードの滑りをするには、フィジカルだけでなく、強いメンタルも必要になります」

もちろん単にスピードレンジが高いだけではなく、正確なスキー操作や表現力も駆使しなくては勝てないのが技術選だ。選手個々の戦略もより緻密なものになることが予想される。

そして、若手の台頭も今大会の見どころだ。アルペン競技のテクニックを持ち込み圧巻の滑りを見せる山田椋喬、ジュニア技術選出身でコブの名手でもある鈴木大智、また女子でも根本風花、野々山颯絵らが、ベテラン勢にプレッシャーをかけるであろうことは想像に難くない。出倉統括も、「若い世代には大いに期待しています。アルペン競技出身者だけでなく、基礎スキー1本で全日本スキー技術選まで上り詰めた若い選手も増えていますし、単なる新旧世代の戦いではなく技術選の新たな歴史を開くようなパフォーマンスを見せてほしいと思います」

2年ぶりの技術選となる今大会。令和初の覇者となるのは果たして誰なのだろうか。 

第58回全日本スキー技術選手権大会 競技種目及びスケジュール(予定)

  • 3月5日(金)

    予選 2種目(同時進行)

    大回り
    急斜面・整地ナチュラル含む/会場:男子リーゼン
    小回り
    中急斜面・整地ナチュラル含む/会場:ナチュラルバーン
  • 3月6日(土)

    予選 2種目(同時進行)

    小回り
    急斜面・不整地/会場:モーグルバーン
    総合滑降
    中急斜面・整地ナチュラル含む/会場:男子リーゼン
  • 3月7日(日)

    決勝 2種目(同時進行)

    大回り
    急斜面・整地ナチュラル含む/会場:男子リーゼン
    小回り
    中急斜面・整地ナチュラル含む/会場:ナチュラルバーン

    決勝スーパーファイナル 1種目

    総合滑降
    中急斜面・整地ナチュラル含む/会場:男子リーゼン

第38回全日本デモンストレーター選考会 競技種目及びスケジュール(予定)

  • 3月8日(月)

    予選 4種目(①②同時進行、③④同時進行)

    ①プルークボーゲン
    緩斜面・整地ナチュラル含む/会場:第5ゲレンデ
    ②基礎パラレルターン小回り
    中急斜面・整地ナチュラル含む/会場:ナチュラルバーン
    ③滑走プルークの展開
    緩斜面・整地ナチュラル含む/会場:第5ゲレンデ
    ④横滑りの展開
    中急斜面・整地ナチュラル含む/会場:ナチュラルバーン

今大会のTOPICS

1新たなジャッジシステムを導入

テクニカル2名、アーティスティック2名、トータル1名の5審5採用

前回から導入された5審5採と100点満点制に加え、テクニカルジャッジとアーティスティックジャッジそれぞれ2名とトータルジャッジ1名という新たなジャッジ構成になった。トータルジャッジは、コートの前半・中盤・後半の3パートをイメージし全体的評価を行なう。これにより、演技構成力の重要度が高まったといえる。

2スーパーファイナル前にビブドロー

競技3日目、決勝の2種目を終えた時点で、翌日のスーパーファイナル(男子30位まで/女子15位まで)に備えて公開ビブドローが行なわれる。アルペンワールドカップさながらのビブドローで、より公平性の高い滑走順が決められるわけだ。選手たちのモチベーションも高まるに違いない。(屋外での実施を予定)

3シンプルな会場レイアウト

今大会の使用コートは、「男子リーゼンスラロームバーン」「ナチュラルバーン」「ワールドカップモーグルバーン」の3つ。この3コースはゴールエリアがお互いに近い場所になっているため、ギャラリーにとっては種目ごとに移動するストレスが低減され、観戦しやすい会場レイアウトとなっている。