流れるように滑れる重心コントロールとは?
レッスン
シャープで力強く、しかも精度の高い滑りは、重心を巧みにコントロールしてターン後半のポジショニングをベストな状態に導くことで生まれます。そのテクニックの組み立てを、エクササイズとともに紹介しましょう。
ターン後半で重心を山側に残さない
上級レベルであっても、意外と多くの人が勘違いしているのがターン後半のポジションのとり方です。とくにカービングターンを覚えたてで、内傾角を深くとれるようになったスキーヤーほど、ターン後半のポジショニングが甘くなっていることが多いようです。
ターン中盤に深い内傾角が作られたあと、本来であれば次の切りかえに向かって重心が腰の真下に戻ってくるべきなのですが、ここで身体の軸が内側に傾きすぎていると、重心が山側に残ってしまいます。そうなると、切りかえのための重心移動の量も必要以上に大きくなることに加えて、ムダな動きも多くなり、流れのある切りかえ操作がむずかしくなってしまいます。
大切なのは、ターン後半、重心を山側に残さないように重心をコントロールすること。次のバリエーションを実践して、流れのある重心コントロールを身につけましょう。
流れるようにムダなく滑るためのエクササイズ5選
内スキーをクロスさせてターンする
下肢3関節(足首、膝、股関節)の曲げを使って、内スキーをクロスさせたポジションをとり、外脚一本で雪面をとらえられる体軸を作ります。内スキーをクロスさせるのは、腰がローテーションするのを防ぐと同時に、より外力に強い軸を作るためです。そのためには、股関節の緊張感をキープすることが大切になります。
両手を両膝にあててターンする
ターン中に両スキーに生まれる高低差をしっかり意識して、内手を上に引っ張りながら外手は下に押し込むイメージで滑ります。この意識によってターン後半、重心が山側に残ってしまうのを防ぐことができます。ターン中は、膝から手を離さないように注意しましょう。
ベーシックな横滑りの連続
しっかり谷スキーに重みが乗った横滑りを行ないます。必要以上に外向傾姿勢をとると、お尻が山側に残ってしまいやすく、谷スキーに重みが乗らないので要注意。外股関節を谷スキーの面の真上に乗せるようなイメージで、重心を動かし横滑りしましょう。スキーの前後差をあまりつけすぎないこともポイントです。
外手を外腰にあて、内手を前に出してターンする
ある程度のスピードがあるなかで、流れるように重心コントロールを行なう練習です。外手を外股関節にあてることで緊張感をキープしながら、内手を前に出して身体のローテーションを防ぎます。この動きによって身体全体にタメが生まれ、たわませた外スキーの返りを利用して重心をコントロールできるようになります。
山側の手で谷膝を触りながら横滑り
横滑りしながら山側の手で谷膝を触ると、重心が山側に残るのを防ぐことができます。また、適度な外向もキープできるため、スキーのズレに乗っていきやすくなります。谷膝を触るときは、膝を近づけるのではなく、山側の手を谷膝に近づけるようにしましょう。
津村 悠(つむら・ゆう)
1993年8月7日生まれ。長野県菅平高原出身。全日本技術選の選手だった父親の影響で、幼少期よりスキーに親しみ、大学卒業まで競技スキーに打ち込む。23歳の時に全日本スキー技術選に初出場、2021年にナショナルデモンストレーターに初認定される。第60回全日本スキー技術選男子総合58位。現在、ナショナルデモンストレーターとして幅広く活躍中