プレイバック・ルスツ技術選2024 女子総合トップ3インタビュー②
技術選
女子総合2位:青木美和 Miwa AOKI
2位の意味をかみしめて
──今シーズンは地区予選の段階から絶好調でしたね。
青木美和(以下、 青木) ここ数年、ジャッジの観点が変わってきている中で、円く滑らかなターン弧にこだわってきたベテラン勢はなかなか点を稼ぐことが難しくなっていました。私も例外ではなく、今までの滑りから動きの支点を膝ではなくもう少し上の方に持っていき、骨盤の左右の高低差をコントロールするイメージに変えてきました。その結果、膝への負担は減りながらもパワーロスのない滑りができるようになっていました。
──なるほど。さて今大会、予選は3位通過。しかし1位から6位までの点差がわずか11点という混戦でしたね。
青木 実は北海道に入った時にはまだ仕上がっていなくて、少しずつ組み立てていったんです。練習では絶好調だったんですが、ピークを合わせるのが数日ずれてしまって……。最初の「小回り 中急斜面 不整地」は、シーズン中にモーグルの元選手と一緒に滑ったりして練習を重ねていたので自信もあったはずなのにライン取りのミスがあったりして15位、次の大回りも気負ってしまって雪面コンタクトが出せずに14位と言う結果。
──2日目は見事な巻き返しでした。
青木 そうですね。実は小回り系は地区予選の時も完全には仕上がっていなかったんですが、北海道に入ってから少しずつ煮詰められた感じで、良いフィーリングでした。
──決勝の4種目、この日の戦いは素晴らしかった。種目別1位こそないものの、すべて一桁順位をマークして総合2位でスーパーファイナル進出。
青木 種目数で言うと、予選が終わった時点でまだ3分の1しか終わっていません。だから、決勝ではミスしないように丁寧に滑ることを考えていました。得意の大回りで4位、新しい種目の「中回り マテリアル規制 急斜面 整地(ナチュラル含む)」で3位を取れたのは良かったです。
──この時の点差ですが1位の渡邊渚選手とは4点差、3位の弥永奈々選手とは3点差、5位の西村紗英選手と10点差という接戦でした。
青木 大げさではなく、ひとつの失敗で順位が大きく入れ替わってしまう厳しい状況でした。ミスはできない、でも守っていては順位を落としてしまうという……。
──やはり優勝は狙っていたわけですよね。
青木 もちろんです。でも渡邊渚選手の滑りを見せられたら、ちょっと逆転するのは大変だぞ、とは正直思ってました(笑)。でも予選から振り返ってみると、今回はつまらないミスで点を取りこぼしている選手が、若手、ベテランを問わず結構多かったんです。だからこれは「ミスしたもん負け」みたいな状況があるぞって。
──それで言ったら、青木選手のスーパーファイナルの安定感は圧巻でしたね。3位、5位、2位、2位……。
青木 あの時の気持ちは、ひと種目毎にじっくりじっくりというか、細かなミスはするかもしれないけど、それを防ぐために守る滑りはしないって。逆に言えばじっくりと集中できていればミスしないはずだって。そう思いながらもスタートに立つと不安も感じました。コースや雪質も難しかったし、若手選手の勢いもすごかったからかも。
──今回のベストランは?
青木 予選2日目の「小回り 急斜面 整地(ナチュラル含む)」です。スキーの切れやターンの深さを表現でき、この種目をきっかけに調子を上げることができました。
──さて次なるビジョンは?
青木 うん、やはり優勝ですよね。私、年齢的にはベテランなんでしょうけど、自分ではまだまだって思ってるんですよね。スタートでは点数を計算するよりも遠くの山を見て「奇麗だな〜」って。滑りのことだけ考えてスタートしちゃうと、かえってダメになっちゃいそう。自分の目の前にある雪山、ギャラリーの人たち、足元の雪、それら全部に集中するのが私の滑りなんです(笑) それをしっかりとやっているうちに、きっと頂点に届くはずって。