NEOカービングが新章突入!OGASAKA KEO’S 2025/26 MODEL REVIEW
ギア・アイテム
ALLROUND MODEL KS-UP DEBUT!
昨年、オガサカスキーの人気モデルであるケオッズシリーズがフルモデルチェンジを果たした。かつて最先端のカービングスキーとしてデビューしたケオッズの、新たに掲げたコンセプトは「NEO(ネオ)カービング」。原点回帰となったKS-APはカービング性能を追求したモデルとなり、そして今シーズン、NEOカービング第2弾としてKS-UPをリリース。どのようなモデルなのか、2人のデモンストレーターと探る。
鈴木大智
すずきだいち●1997年2月13日生まれ。北海道札幌市出身。ジュニア技術選で活躍後、2016年に技術選初出場。25年のルスツ大会では得意のコブで種目2位を獲得するなど活躍し総合25位を記録。2期目のナショナルデモ認定も果たしている
唐沢航希
からさわこうき●1998年12月11日生まれ。長野県東御市出身。大学まで競技スキーに打ち込み、4年時の2021年に学連から技術選に参戦。予選から安定した滑りを見せた25年大会では総合16位を獲得。ナショナルデモの初認定を受けている
KS-UPはグリップ力が強く、正確性を求めるスキーヤー向き
ケオッズはオガサカスキーを代表するモデルのひとつ。1996年の第33回全日本スキー技術選で優勝した猪又一之とともに、先進のカービングスキーとして華々しいデビューを飾り、以来、常に時代の流れを先取りながら進化を続け、オガサカスキーの根幹をなすモデルとしてリリースされてきた。
カービングスキーがグローバルスタンダードとなった今、多くのスキーヤーがカービングの楽しさを味わえるようになった。そんななか昨年、オガサカでは今一度ケオッズの血統を見直し、そのDNAを覚醒。カービングに徹底的にこだわり、スキーヤーの技術を次のステージに導く「ネオカービング」という新たなコンセプトを提唱した。
そうして生み出されたのがKS-AP。このモデルは、オガサカ初のマルチラディウスモデルで、4つのRからなる「マルチ アーク ジョインテッド カーブ」を採用。適切な位置に配置された4つのRにより、理想的な方向づけ、グリップ、推進力を発揮して、カービング性能を最大限に発揮するというものだった。
来季、ネオカービング第2弾として、新たに誕生するのがKS-UPだ。UPとはユニバーサルプロの略で、よりオールラウンド性に富んだスキーであるということ。構造はKS-APと同じサンドイッチ構造を踏襲しながら、グラスファイバーの量を増やし、APで採用していたラバーシートはあえて使わず、よりダイレクトな滑走性能を得られるのが特徴だ。
「UPは切れるスキーだなという印象です。角づけをして荷重をかけていき、スキーの2本のラインがうまく出て、そこに体重を預けていけばきれいなターン弧が描けます。適度な反発力が得られ、ターンの成功率が高い。指導員検定などではミスをしないことが重要なので、ここぞという時に頼りがいのあるスキーになっていると思います。指導員検定やプライズテストで、自分の7〜8割程度の力を出しながら正確性を重視したい人や、ミスなくスキーを走らせたい人にもお薦めです。それに、今は検定でもカービングができないと合格できないのですが、カービングの滑りで2本のエッジになかなか乗れない人は多い。そんな時は、きっとUPが助けてくれるに違いありません」(鈴木大智)
「エッジのグリップ感がけっこう強めに出るので、硬いハードパックを滑るのにすごく気持ちいい。UPはグリップ力が強いので、エッジの角を立てて滑るのが苦手な人でも、スキーがうまく手助けしてくれるのではないでしょうか」(唐沢航希)
トップのとらえが強く、優れたカービング性能のKS-UP
UPとAPの違いは、サイドカーブに見ることができる。APが119-67-103mmなのに対して、UPは117-69-102 mmとなっており、トップが2 mm、テールが1 mm細くなり、センターが2 mm太くなっている。これに伴い、ラディウスは13mから13・8mへと0・8m大きくなっている。UPにはAPと同様に、4つのカーブからなるマルチ アーク ジョインテッド カーブを採用。4つのRのうち、センターに近いふたつのRはAPよりも大きいが、実はトップとテールのRはAPよりも小さくなっているのだ。カービング性能と操作性を併せ持ち、荒れたバーンでも安定したパーフォーマンスを引き出せるように開発されたサイドカーブだが、実際の滑りには、どのような影響があるのだろうか。
「もちろんAPもカービングはしやすいのですが、UPのほうがトップからしっかりエッジが掛かり、ターンの最後までしっかり掛かってくれるので、後半テールで押し出してくれるみたいな感覚がありました。足元が体の真下でしっかり操作できる印象です」(唐沢航希)
ともにサンドイッチ構造で、ラディウスは0.8mしか違わない。APはショートカービングモデル、UPはより幅広い弧に対応するミドル・ショート系オールラウンドモデルという位置づけだ。ロングかショートかといった明確な違いがないので、どちらのモデルを選ぶかは、なかなか悩ましい。
「カービングを優先させたいのならUP、小まわりやコブに自信がない人はAPという選択肢もあります。ただ、UPが小まわりしづらいかというとそうではない。たとえば、プレートを軟らかめのFMプレートにするとスキーがたわみやすくなり、またサイズを短くするとラディウスが小さくなるので小まわりもしやすくなる。朝から晩までいろいろな斜面を滑りたい人はUPのほうが楽しめます」(鈴木大智)
もうひとつ、UPが得意とするところがコブだ。撮影でもコブを滑ってもらったが、ふたりともコブでの性能を高く評価している。
「海外のモデルは、コブで跳ね上げられて発射しないように押さえ込まなければならないスキーも多いのですが、UPはそもそも上がらない。コブの頂点でスキーがたわんで止まる感じがする。足元で止まってくれるので自分から動かすことができます」(鈴木大智)
オールラウンドスキーの新たなスタイルを提案するKS-UP。KS-UPのグラスバージョンで、KS-APに近いカービング性能をもつKS-UQとともに、ネオカービング第2章がスタートした。
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